背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。 18年は岡本がブレーク
打者と投手が混在する20番台の背番号にあって、「25」は打者が優勢。しかも近年は、特にセ・リーグで「25」の打者たちが賑やかだ。2016年には、広島の新井貴浩が25年ぶりの優勝に貢献してMVP。初のクライマックスシリーズ進出を果たした
DeNAで本塁打王、打点王の打撃2冠に輝いたのが
筒香嘉智だ。その前任者が
村田修一で、07年から2年連続で本塁打王となり、
巨人でも「25」を背負い続けた。
その後継者の
岡本和真は18年にブレーク。打撃タイトルには届かなかったものの、打率3割、30本塁打、100打点をクリアした。新井と村田は去ったが、筒香や岡本には、さらなる飛躍が期待できる。長距離砲の「25」は最盛期を迎えたのか、あるいは、ますます隆盛を極めていくのか。強打の「25」から目が離せない。
【12球団・主な歴代「25」】
巨人
平山菊二、
相羽欣厚、
鴻野淳基、村田修一、岡本和真☆
阪神 森茂雄(監督)、
山本哲也、
山本和行、
猪俣隆、
江越大賀☆
中日 桝嘉一、
加藤進、
豊田誠佑(成祐)、
武藤祐太、
佐藤優☆
オリックス 笠松実、
スペンサー、
高井保弘、
藤田浩雅、
西村凌☆
ソフトバンク 松井淳、
高橋博(博士)、
片平晋作、
若井基安、
田中正義☆
日本ハム スタンレー橋本、
宮原務本(秀明)、
小川浩一(皓市)、
立石尚行、
宮西尚生☆
ロッテ 別当薫、
得津高宏、
平沼定晴、
金澤岳、
岡大海☆(2019年~)
DeNA 平山菊二、
松原誠、
畠山準、村田修一、筒香嘉智☆
西武 高倉照幸、
大田卓司、
安部理、
星孝典、
平井克典☆
広島
木下強三、
阿南潤一(準郎)、
木下富雄、
石井琢朗、新井貴浩
ヤクルト 初岡栄治、平岩次男(嗣朗)、
船田和英、
鈴木正幸、
館山昌平☆
楽天 佐竹学、
横川史学、
ジョーンズ、
牧田明久、
田中和基☆
(☆は2019年)
“アーチスト”に始まる強打の系譜

大洋・松原誠
新井や村田のように、移籍しても「25」を背負い続ける長距離砲も多い。元祖と言えるのが別当薫だ。阪神で華麗なアーチを架けて人気を博し、2リーグ分立で毎日へ移籍して「25」となり、本塁打王、打点王の打撃2冠、プロ野球で初めてとなるトリプルスリーも達成して、リーグと日本シリーズのダブルMVPにも輝いた。
村田と同じ道程をたどったのが、別当監督の下で大洋の四番打者を務め、巨人で引退した松原誠だ。FA移籍した阪神でも「25」だった新井は18年に最長となる20年目を終えて引退。ちなみに、弟の
新井良太も中日時代は「25」で、兄弟で同じ時期に同じ背番号だった珍しいケースだ。
同じチームで2度「25」を着けたのが阪急の“野球博士”スペンサーで、いったん帰国したもののコーチ兼任で復帰して代打を中心に活躍。その後継者となった高井保弘は代打で通算27本塁打を放ち、世界記録を樹立している。
ヤクルトには館山昌平が復活を目指し、日本ハムの宮西尚生は左のセットアッパーとしてプロ1年目から10年連続で50試合以上に投げまくるなど、投手の「25」も近年はにぎやかだが、投手として最長の17年も背負い続けたのは阪神の山本和行。通算700試合に登板して100勝100セーブを達成した左腕だ。
着けた期間は短いが、ヤクルトの
松岡弘と阪急の
山田久志は最初の背番号が「25」。
西本聖は中日へ移籍した1年目に「25」で自己最多の20勝を挙げて最多勝に輝いている。
写真=BBM