
メモリアルボールに「第一号」と書き込んだ
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1988年4月27日だ。
「バックスクリーンに打ち込むなんて豪快でいいじゃないか。プレッシャーの中でよく打ったよ」と敵将・
王貞治監督が笑顔で“おほめ”の言葉を贈る。負け試合なのにグラウンドに引っ張り出されて、場内に音を流しての“ヒーロー”インタビュー。考えられないことも、この男の場合はすごく自然になってしまう。
神宮球場の
ヤクルト対
巨人。6回裏一死に代打で登場したヤクルトの
長嶋一茂はカウント2ボール2ストライクから
ガリクソンの5球目をバックスクリーンにたたき込む特大アーチ。プロ8打席目の初安打を飾った。父・茂雄氏の初安打は10打席目、初アーチに至っては22打席目のことだったから、父を超えた。
「一塁を回ったところで体がフワッと浮く感じで……。あんな気持ち、初めてですよ」と長嶋。バックスクリーンに当たって、グラウンドに戻ってきた記念のボールを
クロマティが拾って、ブルペンの
荒木大輔に投げて、“元アイドル”から手渡された長嶋は「大事にしまっておきます」と笑顔を見せた。
写真=BBM