
6月14日の広島戦[楽天生命パーク]で2号2ランを放った辰己
6月19日発売の週刊ベースボールで楽天のドラフト1位ルーキーの
辰己涼介をインタビューした。攻守走三拍子そろった外野手として開幕一軍を勝ち取ると攻守で何度もチームを救うプレーを見せるなど、外野の一角を奪う勢いを見せている。だが、自身はポジション争いの難しさも痛感しているようだ。
特に打撃では納得いく打席が少なく、その状況を打破しようと試行錯誤している現状を語ってくれた。「打撃に関しては進歩していない」と語り、特に本塁打に関しては「自分のポイントまで引き寄せられてなくて、ボール球を振ったりとか、空振りが多いので、(本塁打のために)何一つ足りていない」と悔しさをにじませた。16日までに2本の本塁打を放っているが「出会い頭じゃなくて、10本打とうと思ったら、やっぱりそういったところを埋めていかないと」と反省も忘れない。
だが、その能力の高さは誰もが認めるところだ。
小谷野栄一打撃コーチもここまでの活躍に目を細め、さらなる活躍に期待を込める。
「小さくまとめ上げちゃうのは簡単なことなんですけど、その場しのぎの結果を求めて彼の将来をつぶしたくはない。ですから、小さく、こぢんまりとしたスイングは絶対させないように僕らも気をつけていますね。彼が結果を残したいと思って、結果ありきの行動をし始めたときには、『今ちょっと小さくなってるよね』と、そういったことを対話しながらやるようにはしています」
俊足巧打が持ち味だが長打への意識も高く、今季の目標のひとつに「2ケタ本塁打」を挙げた辰己。「コツさえつかめればすごくいいペースで(本塁打を)打てるんちゃうかなとも思うので、貪欲に、しっかりと考えながら練習して試合に臨みたいなと思います」。
思い描いていた結果が残せず二軍落ちも経験するなど、悔しさを味わったプロ生活のスタート。それでも二軍での経験も糧に一軍で出場を重ねている。進化し続けるドライチの活躍に今後も注目していきたい。
文=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎