
2004年の第2戦、阪神時代に続き、日本ハムでMVPとなった新庄
いよいよオールスターゲームの開幕が目前に迫ってきた。今年もオールスターにふさわしい豪華なメンバーが選出されており、熱い試合が繰り広げられるのは間違いないだろう。このオールスターゲームでは1951年の初開催以降、さまざまな記録が生まれてきたが、中には意外と知らない人が多い記録もある。今回は、意外性のあるオールスターゲームの記録を紹介しよう。
オールスターゲームで最も多く安打を放っているのは?
オールスターの「通算最多安打」は、ノムさんこと
野村克也が持っている。1957年に初出場して以降、通算で21度出場(これも最多記録)し、167打数で48本のヒットを放っている。48本のヒットのうち15本が二塁打で、これも「通算最多二塁打」の記録だ。ちなみに、野村に次ぐのは
長嶋茂雄と
張本勲で47安打。現役では
巨人の
坂本勇人が最多で、通算成績は56打数16安打。偉大な先人たちの背中はまだまだ遠いようだ。
通算打率トップは? やはりあの選手?
最多安打記録を持つノムさんだが、通算打率は.287とそこまで高くはない。ではオールスターゲームの通算打率トップは誰なのかというと、「50打数以上」ではイチローがトップ。71打数28安打で打率.394と4割近い成績を残している。1996年から2000年にかけて11試合連続安打記録をマークするなど、オールスターゲームでも圧巻のプレーを披露した。ちなみに、「30打数以上」まで下げた場合は、打率トップは元阪神の
和田豊になる。30打数13安打で打率.433と、これも驚異的な数字だ。現役選手で50打席以上立っているのは巨人の坂本のみで、打率は.285。昨年のオールスターではノーヒットだったが、今年はどうなるのか注目だ。
初回先頭打者本塁打を表・裏の両方で達成した現役選手がいる
オールスターゲームにおける初回先頭打者本塁打は、1968年の第1戦で東京オリオンズのアルト・ロペスが放ったのが最初。以降、ロペスを含めて10度あるが、その中で2度記録しているのは
西武の
秋山翔吾(2017年第1戦、2018年第1戦)のみ。また、「2年連続初回先頭打者本塁打」も秋山が最初の達成者だ。ほかにも、秋山の初回先頭打者本塁打は、2017年は表の攻撃で、2018年は裏の攻撃だったため、「表・裏で初回先頭打者本塁打」という記録も持っている。今年3年連続で放てば、前人未踏の記録になるだろう。
サイクルヒットを達成したのも一人だけ

92年の第2戦、サイクルヒットを達成したヤクルト・古田
今年エンゼルスの
大谷翔平がサイクルヒットを達成して注目された。このサイクルヒットはなかなか達成が難しく、オールスターゲームでは
古田敦也がただ一人サイクルヒットを記録している。1992年の第2戦で先発出場した古田は、初回にスリーベース、3回にセンター前ヒット、5回にホームラン、9回にセンターへのツーベースを放ってサイクルヒットを達成した。最後のツーベースは9回2アウトの状況で飛び出した一打だった。
満塁弾は意外と出ていない
過去68回のオールスターゲームのうち、満塁本塁打は2回しか出ていない。オールスター史上初の満塁本塁打は1963年の第2戦の初回に、大毎オリオンズの
榎本喜八が記録。2度目はそれから4年後の1967年の第3戦で、日本ハムの
大杉勝男が記録している。以降は満塁本塁打が出ることはなく50年以上経過。シーズン中もそうそう出るものではないが、オールスターゲームではそれ以上に珍しい記録なのだ。
セ・パ両リーグでのオールスターゲームMVP獲得者
オールスターゲームのMVP最多受賞は、西武・巨人・オリックスで活躍した
清原和博でなんと7回も受賞している。清原は西武時代と巨人時代にMVPに選ばれているので、セ・パ両方でのMVP受賞者でもある。実はセ・パ両方でMVPになった選手は全部で5人おり、最初に記録したのが
落合博満。
ロッテ時代の1983年と、巨人に移籍後の1995年にMVPに輝いている。ほかには、
山崎武司が2000年(
中日所属)と2008年(
楽天所属)に、
中村紀洋が2001年(近鉄所属)と2012年(
DeNA所属)にMVPに輝いている。阪神在籍時の1999年にMVPに選ばれた
新庄剛志も、日本ハムに移籍後の2004年にまさかの単独ホームスチールを決め、セ・パ両リーグでのMVP受賞者となった。
最大継投人数は何人だった?
オールスターゲームは先発投手が2~3イニング、中継ぎや抑えの投手は1イニング未満で交代することが多い。それだけ継投が多くなるのだが、オールスターゲームにおける最多継投人数は何人かご存じだろうか? 正解は「9人」。2007年の第1戦と2011年の第1戦でともにセ・リーグ選抜が記録している。2007年は先発の
上原浩治から抑えの
藤川球児まで1イニングごとに継投し、強力なパ打線を1安打無得点に抑えた。2011年はなんと中日の守護神である
岩瀬仁紀が先発。その後は1イニングごとに交代して、2007年の記録に並んだ。ちなみに両年とも、全セの監督を務めたのは落合(当時は中日の監督)だった。
●2007年オールスターゲーム第1戦出場投手
上原浩治(巨人)
高津臣吾(ヤクルト)
林昌範(巨人)
木塚敦志(横浜)
岩瀬仁紀(中日)
黒田博樹(
広島)
久保田智之(阪神)
マーク・クルーン(横浜)
藤川球児(阪神)
●2011年オールスターゲーム第1戦出場投手
岩瀬仁紀(中日)
江尻慎太郎(横浜)
榎田大樹(阪神)
久保裕也(巨人)
山口俊(横浜)
デニス・サファテ(広島)
林昌勇(ヤクルト)
浅尾拓也(中日)
藤川球児(阪神)
ノーヒットノーランが一度だけ達成されていた

71年の第1戦、9者連続三振の偉業を達成した先発の阪神・江夏を継いだ投手たちもヒットを許さず、ノーヒットノーラン継投を達成
オールスターゲームでは、同じ投手は3イニングまでしか投げてはいけない、と定められている。そのため、一人の投手がノーヒットノーランを達成することはない。しかし、「継投でのノーヒットノーラン」は過去に一度だけ達成されている。それが有名な「
江夏豊の9者連続三振」が記録された1971年の第1戦だ。3回を完璧に抑えた江夏の後を
渡辺秀武(巨人)、
高橋一三(巨人)、
水谷寿伸(中日)、
小谷正勝(大洋)が引き継ぎ、パ打線をシャットアウト。継投によるノーヒットノーランが達成された。
入団からオールスターゲーム初選出までの期間が長かったベテランは?
長年チームに貢献してきたベテランが、満を持してオールスターゲームに選出されるケースもしばしば見られる。例えば2016年は、西武の
栗山巧が入団15年目で初選出され、第1戦で2ランホームランを放ってMVPを受賞し、話題になった。この栗山の15年を超える最長記録が、元阪神の
川藤幸三と元巨人の
鈴木尚広だ。入団からオールスターゲーム選出までの期間はなんと19年。プレースタイルは異なるものの、お互い長い間チームに貢献し続けたベテランだけに、これだけ長い間選出されなかったのが不思議だ。
過去最短試合時間は1時間46分
オールスターゲーム史上、最も試合時間が短かったのが1953年の第2戦。甲子園球場で行われたこの試合は、2対0でセ・リーグが勝利し、試合時間は1時間46分だった。反対に9回できっちり終わった試合で最長だったのが1970年第1戦の3時間15分。延長まで含めると最長は1952年第1戦の4時間30分で、なんと延長21回まで続いた。ちなみに、ここ数年はいずれも2時間30分前後で終わっている。
オールスターゲームに関するさまざまな記録を挙げてみた。先頭打者本塁打やサイクルヒット、満塁弾に関する記録は、意外と知らなかったという人が多いのではないだろうか。オールスターゲームを観戦する際には、ぜひ会話のネタにしてみてはどうだろうか。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM