ケガの多い現役生活だったが後悔はない
意外な言葉だった。いや、この男らしい言葉だったのかもしれない。9月13日に今季限りで現役引退を表明した
ヤクルト・
館山昌平は、「若いころの自分に助言を送るとしたら?」という質問に、こう言い切った。
「同じようにケガをしたいのかなと思う。ケガをしなかったら、見えなかったこともある。全部がつながっていたのかなと思う。持てる力をすべて出し切ったから」
同時に、家族への感謝も忘れなかった。
「妻とは16年間、娘とは11年間、いい話だけでなく、つらい話も包み隠さず話してきた。うまくいかないこともすべて共有できる仲の良い家族。自分一人で抱え込まず、一緒に戦ってこられたからこそ、これだけ長く続けられたと思っています」
2009年に16勝を挙げて最多勝を獲得するなど、燕のエースとして活躍した。一方で故障も多く、右ヒジじん帯の手術は9度受け、175針の傷跡が体に残っている。それでも最後は穏やかな表情で現役生活に別れを告げた。評価は人それぞれだが、自身にとっては完全燃焼したプロ17年間だったはずだ。
写真=BBM