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来季、一軍定着が期待される二軍タイトルホルダーは?

 

 11月1日にファーム公式戦の全日程が終了。今シーズンの二軍タイトルも確定した。すでに一軍経験のある選手だけでなく、プロ1年目のルーキーも受賞したが、圧巻なのはソフトバンク。なんと投打タイトルで計8冠を達成するという圧倒ぶりだった。今回は、こうした二軍タイトルホルダーの中で、来季の一軍定着が期待される若手選手をピックアップしてみた。

4年目の大砲候補が覚醒


11月1日の阪神戦(横浜)では一軍で今季1号本塁打を放った細川


 イースタン・リーグでは、最多本塁打(13)、最多打点(53)、最高出塁率(.448)の打撃三冠を制したDeNA細川成也が来季の飛躍が期待される選手だ。プロ1年目の2017年はシーズン終盤に昇格し、「高卒新人ながらデビュー戦から2試合連続で本塁打を記録」というNPB初の快挙を達成。その年の日本シリーズにも出場したが、その後は一軍では結果が出せず二軍暮らしが続いていた。

 しかし、プロ4年目の今季は一軍昇格と二軍落ちを繰り返しながらも自身初の二軍タイトル三冠に輝き、一軍試合でも11月1日の阪神戦(横浜)でようやくながら今シーズン1号を記録。特に持ち前のパワーだけでなく選球眼も向上しており、それが最高出塁率のタイトルにもつながっている。DeNAの外野陣は助っ人も含め層が厚いが、レギュラーの梶谷隆幸がFAで抜ける可能性があるため、一軍定着に向けて来季開幕までに猛アピールしたいところだ。

DeNA期待の先発投手が一軍試合でも好投


来季こそ、一軍でプロ初勝利を挙げたい阪口


 同じDeNAでは、最高勝率(.800)の阪口皓亮も来季一軍での活躍が期待される選手の一人。プロ2年目の2019年に一軍昇格するものの、ピッチングが安定せずに結果が出せず二軍落ち。今季も二軍戦での好投が評価され、8月に一軍で2試合に先発起用されるも、2戦黒星と期待どおりのピッチングができなかった。それでも二軍では好投を続け、最高勝率タイトルを獲得した。

 シーズン終盤の11月1日には再び出場選手登録され、同日の阪神戦(横浜)でさっそく先発に起用。残念ながらプロ初勝利とならなかったが、ストレート、変化球ともに安定しており、5回1失点と好投した。ラミレス監督は精神面の成長を課題としていたが、この試合のピッチングを見て、「来季の活躍が期待できる」と高く評価。このまま一軍定着を狙いたい。

再び一軍定着を目指す投手三冠の大竹


来季は4年目を迎える大竹は1年間一軍で投げ続けることが最低目標だ


 ソフトバンク勢が8冠と圧倒的だったウエスタン・リーグでは、やはりソフトバンクの3年目・大竹耕太郎は外せない存在。2018年に育成ドラフト4位で入団した大竹だが、1年目に二軍でいきなり8勝と活躍したことで支配下登録を勝ち取った。8月には一軍に昇格し、初勝利を記録。飛躍が期待された翌2019年は開幕一軍スタートとなり、先発の一角を担った。しかし、後半戦で調子を落としたために登録抹消され、一軍定着とはならなかった。

 プロ3年目の今シーズンは左ヒジを故障したことで開幕二軍となったが、二軍では格が違うとばかりに圧巻の投球を続け、最終的に最多勝(6)、最高勝率(.667)、最優秀防御率(2.53)の投手三冠を獲得した。8月には一軍昇格を果たし、久しぶりの一軍勝利を記録。10月25日の西武戦(PayPayドーム)でも5回1失点で今季2勝目をマークした。来季こそは一軍に定着し、一軍での投手タイトルを獲得してもらいたい。

若手投手が多いオリックスにまたもや新星登場


高卒1年目ながら一軍でプロ初勝利をマークした宮城


 オリックスのルーキー・宮城大弥も今後要注目の選手の一人だ。2020年ドラフト1位で入団した逸材は、今季二軍で13試合で起用され、ソフトバンクの大竹とならぶ6勝を記録。最多勝のタイトルに輝いた。最速153キロにまで成長したストレートや、新たに習得したフォークも魅力だが、なんといっても19歳とは思えない投球技術が大きな武器。相手打者や状況によって巧みにテンポをずらす投球は高卒1年目とは思えない。

 二軍での活躍を受け、10月に一軍に昇格。4日の楽天戦(京セラドーム)でプロ初先発となった。この試合は勝利することはできなかったが、5回2失点と試合を作った。続くプロ2戦目となった同月18日の西武戦(メットライフ)でも6回3失点(負け投手)。そして11月6日の日本ハム戦(京セラドーム)、5回3失点で待望のプロ初勝利をマークした。オリックスの一軍は山本由伸をはじめ若手投手の活躍が目立つチームだが、この若手投手陣にまた一人逸材が加わるかもしれない。

田中法彦は広島の救世主となれるか


今季は二軍で25試合に登板し、1勝1敗12セーブ、防御率1.73だった田中


 今季低迷した広島だが、その原因は投手陣。特に抑え投手は、新助っ人外国人のテイラー・スコットが大炎上、ヘロニモ・フランスアも不安定な投球が続くなど、厳しい状況だった。結局フランスアが抑えを務めることになったが、それでも失点が多く、抑え投手の確保は優先すべき課題だ。そんな広島の救世主となるかもしれないのが、今季プロ2年目の田中法彦だ。

 2019年ドラフトで5位で団した田中は、1年目の昨季は一軍登板はなし。二軍でも登板はわずか4試合のみだったが、2年目の今季は抑えに指名され、25試合に登板。防御率1.73、12セーブで最多セーブ投手に輝いた。ストレートは140キロ台だが、多彩な変化球で相手を翻弄する技巧派だ。10月には念願の一軍昇格。29日のヤクルト戦(マツダ広島)で一軍初登板を経験。1イニングを3者凡退と上々のデビューを果たした。翌30日の中日戦(ナゴヤドーム)でも中継ぎで起用され1イニング無失点で勝利に貢献。この調子を維持すれば、来季の開幕一軍の可能性も高い。

 来季の一軍定着が期待される若手選手をピックアップして紹介した。特にオリックスや広島といった下位に沈んだチームや、上位に一歩届かないDeNAにとっては、若手の台頭は願ってもないこと。今回紹介した選手が来季の台風の目となるか、活躍に期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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