
2月6日、楽天キャンプに合流した田中将
2021年1月28日、ヤンキースをFAになっていた
田中将大の楽天復帰が決定した。渡米前の2013年には「公式戦無敗」という伝説を残した田中将。今季どれほどの活躍を見せてくれるのか期待はふくらむばかりだ。田中将のように、過去には数々の日本人投手がMLBでプレーした後に日本球界に復帰したが、「帰国後に最も多く勝利を重ねた選手」は誰なのだろうか?
歴代最多は日本人初のメジャー・リーガー?
田中将と同様に、日本からメジャーへと活躍の場を移した後、再び日本球界に復帰した日本人投手は全部で31人(田中将を除く)。各選手の日本球界復帰後の成績を以下にまとめてみた。
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村上雅則……563試合 103勝82敗 30S
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柏田貴史……177試合 3勝1敗
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木田優夫……217試合 19勝18敗 14S 50H
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伊良部秀輝……30試合 13勝10敗
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吉井理人……75試合 16勝31敗 1S

04年に横浜復帰後、翌05年までプレーした佐々木
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野村貴仁……6試合 0勝0敗
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佐々木主浩……34試合 1勝5敗 23S 1H
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小宮山悟……151試合 10勝9敗 2S 7H
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石井一久……175試合 65勝57敗 4H
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高津臣吾……73試合 1勝7敗 26S 8H
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福盛和男……37試合 7勝3敗 10S 4H
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大家友和……29試合 7勝15敗
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高橋建……26試合 4勝5敗 8H
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小林雅英……18試合 0勝0敗 1S 1H
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薮田安彦……177試合 4勝13敗 58S 41H
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藪恵壹……11試合 0勝0敗 2H
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川上憲伸……18試合 5勝4敗
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岡島秀樹……110試合 4勝8敗 9S 53H
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井川慶……29試合 7勝12敗
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斎藤隆……64試合 4勝1敗 7S 13H

15年に広島に復帰し、16年にはリーグ優勝に貢献した黒田
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五十嵐亮太……316試合 18勝10敗 16S 110H
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高橋尚成……16試合 0勝7敗
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建山義紀……8試合 0勝0敗
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黒田博樹……50試合 21勝16敗
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松坂大輔……14試合 6勝5敗 ※現役
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藤川球児……220試合 18勝13敗 23S 61H
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和田毅……60試合31勝10敗 ※現役
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村田透……67試合8勝8敗 7H ※現役
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上原浩治……36試合0勝5敗 14H
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岩隈久志……登板なし
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牧田和久……52試合2勝2敗 2S 22H ※現役
※日本球界に復帰したのが早い順 日本球界復帰後に最も多く勝利を挙げているのは、アジア人初のメジャー・リーガーである村上雅則。南海入団3年目にアメリカに野球留学をすると、そのままメジャーに昇格し、ジャイアンツで2年間プレーした。その後、1966年に南海に復帰し、
阪神、
日本ハムと渡り歩きながら17年間活躍。通算103勝を挙げた。ただ、野球留学からメジャー昇格と、他のMLBに移籍した日本人選手とは移籍経緯が異なるため、田中将と比較するのは適切ではないだろう。

日本球界復帰後、ヤクルト、西武(写真)で通算65勝を挙げた石井
田中将と同じように、日本球界で活躍した後にポスティングやFAで海を渡った選手で見た場合は、石井一久の65勝が歴代トップとなる。石井はドジャース、メッツと4年間プレーした後にヤクルトに復帰し、2年間で20勝。西武にFA移籍後は6年で45勝を挙げた。
ちなみに、田中将と石井はポスティングでメジャー移籍後に古巣に復帰、復帰した年齢が同じ(どちらも33歳になる年に復帰シーズンイン)など境遇が似ており、その石井は今季から楽天の監督に就任。8年ぶりの日本のマウンドだとアジャストするのが難しいものだが、似た境遇を経験している監督がいるのは心強いだろう。
石井の次に勝ち星が多いのが
ソフトバンクの和田毅だ。2016年に日本球界に復帰した和田は、その年にいきなりリーグトップの15勝を挙げると、昨季も開幕が遅れる難しいシーズンの中で8勝をマークした。今年で40歳になるが、衰えを知らない活躍を見せている。
2度のMLB挑戦、日本球界復帰を経験した木田優夫は、復帰後の成績をトータルすると19勝。これは黒田、和田に次いで多い数字だ。1999年に
オリックスからデトロイト・タイガースに移籍した木田は、1年半プレーした後にオリックスに復帰。しかし、不調により自由契約になると、再びメジャーに挑戦し、ドジャース、マリナーズと渡り歩いた。その後は再び日本に戻り、ヤクルト、日本ハムでプレー。引退後は日本ハムのGM補佐となり、ドラフトで
清宮幸太郎の当たりクジを引いたことでも話題となった。今季からは二軍総合コーチ兼投手コーチを務めている。
木田は中継ぎでも活躍して帰国後に通算50ホールドをマークしたが、ホールド数では2020年限りで引退した五十嵐亮太が110ホールドと抜けている。セーブ数は希代のストッパー・佐々木主浩らを抑え、
ロッテで活躍した薮田安彦が58セーブでトップだ。
メジャーから復帰後の成績で最多勝は石井一久の65勝。田中将の実力ならば、この記録を更新する可能性は十分にある。しかし、再びメジャーのマウンドでその勇姿を見たいというファンも多いはず。実際、楽天との契約には今季終了後の契約解除も含まれており、今季の成績やコロナ禍の落ち着き具合で、メジャーで田中将を獲得したいというチームも出てくるだろう。今年は球史に名を残すレジェンドの投球が間近で見られる貴重な1年。田中将には、ぜひ圧巻の投球を披露してもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM