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東京2020オリンピック

【日本代表】村上宗隆はバットを担いで鈴木誠也の部屋へ。“積極交流”で金メダルに向け雰囲気も上々

 

練習の合間にはグラウンドのいたるところで選手の輪ができる


 7月19日からスタートした日本代表の強化合宿は、休養日を挟んで23日に4日目を終え、24日(対楽天)、25日(対巨人)の強化試合で最終調整へと入っていく。

 右ワキ腹違和感のため、初日から一部別メニュー調整が続く柳田悠岐(ソフトバンク)の状態が気になるところだが、23日には屋内でフリー打撃を行うなど、本人は「100」を強調。「もう行けると思っているけど、(代表首脳陣に)止めていただいている感じなので。体は全然問題ありません」と完全合流の日を待ち焦がれている。

 24日の楽天戦はセンターに近藤健介(日本ハム)、ライトに鈴木誠也(広島)を配する布陣でスタートが予想されるが、強化試合2試合のどこかで実戦に復帰する可能性は十分にある。当初、柳田に上位打線&センターを期待していた稲葉篤紀監督も「また一段階上がりましたね」と胸をなで下ろし「代走なのか守備なのか、そんなことも想定しています」と起用プランを明かす。柳田の実戦でのパフォーマンスも強化試合の注目ポイントの1つだろう。

 順調に調整を行うほかの選手たちは、個々人のレベルアップに余念がない。日本球界のトップクラスの選手たちが集まるだけに、互いの調整法や考えに興味津々。代表最年少(21歳)の村上宗隆(ヤクルト)は18日の合宿初日前夜、日本代表の主砲・鈴木の宿舎の部屋を、バットを担いで訪問してアドバイスを求めたことを明かし「いろいろな選手の部屋にいくと勉強になると思います。バットを持ってお邪魔しました」と目を輝かせた。国際大会に向けては「とにかく楽しもうぜ」と19年のプレミア12MVPから金言を授かったという。

 平良海馬(西武)は山本由伸(オリックス)の調整方法に注目。「ヤリを持っていたので、『それは何ですか?』と質問して。実際にやらせていただいて、力ではなく、なるべく良いポイントで放すとか、同じ力を発揮して、同じ距離を何回連続で飛ばせるか、とか。面白いです。普段は見ないことなので、間近で見られて、聞けて、良い毎日です」と有意義な日々を過ごしている。

 少しでも良いものを取り入れようとする姿勢は若手もベテランも同様だ。中でも貪欲なのが坂本勇人(巨人)らと並んでチーム最年長の大野雄大(中日)だ。同世代で今季、メジャーから日本球界に復帰した田中将大(楽天)にロックオン。「マー君は同じ88年生まれですけど、メジャーの経験もある投手なので、良い機会なので聞いていきたいと(日本代表)招集前から思っていました。普通に過ごしていたらこんな機会はなかった。現役が終わってからでは自分のためになりませんので、今、いろいろな話を聞いていきたいと思います」。

 そんな田中のキャッチボールパートナーを合宿初日から務める千賀滉大(ソフトバンク)も刺激を受ける1人。「田中さんが『相手がいない』と言っていたので、『僕でいいですか?』と。断られると思ったのですが、『いいよ』と言ってもらえたので、毎日緊張しながらやっています。軽く投げていながらも、身体のスピードとボールのスピードの違いがある。やらせてもらってよかったなと思います」。17年のWBCなど国際大会の経験も豊富な右腕には若手選手がアドバイスを求める機会も多く、「みんな野球に対して一生懸命考えていますし、若い選手に負けないように『頑張らなきゃな』と刺激を受けています」。

 選手間の積極的な情報交換で雰囲気も上々。オリンピック開幕まで準備期間は限られるが、チームはまとまりを見せ始めている。

文=坂本匠 写真=榎本郁也
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