今季、圧巻の投球を披露しているのがオリックスの
山本由伸だ。10月16日終了時点で17勝(5敗)で勝利数はリーグトップ。防御率、勝率、奪三振数もリーグ最多と、投手タイトル総なめの状況だ。このうち、特に圧巻なのが防御率。10月13日終了時点で1.46と驚異的な数字を残している。この調子を維持すれば、最優秀防御率のタイトル受賞は間違いないが、「防御率1.50以下での受賞」となると、何年ぶりなのだろうか?
1.50以下でのタイトル獲得は過去に10人

楽天・田中は13年に防御率1.27でタイトルを獲得している
2リーグ制となった1950年以降を対象に「最優秀防御率受賞選手」の防御率を調べてみた。防御率1.50以下で受賞したのは以下の10人のみだ。
杉下茂(
中日)1.39/1954年
別所毅彦(
巨人)1.33/1955年
渡辺省三(大阪)1.45/1956年
稲尾和久(西鉄)1.06/1956年、1.37/1957年、1.42/1958年
金田正一(国鉄)1.30/1958年
村山実(
阪神)1.19/1959年、1.20/1962年、0.98/1970年
杉浦忠(南海)1.40/1959年
堀内恒夫(巨人)1.39/1966年
権藤正利(阪神)1.40/1967年
田中将大(楽天)1.27/2011年、1.27/2013年
防御率1.50以下での最優秀防御率受賞者は、1950年以降で10人、全15例しかない。NPB黎明期は後世に名を残すレジェンドが何人も1点台前半、さらには0点台という驚異の数字を記録したが、1970年の村山以降は2011年の田中将大まで40年間出現せず。1点台後半はたびたび記録されているが、1.50以下でのタイトル受賞は長らく出なかった。
今季、山本が1.50以下で受賞となれば、2013年の田中以来8年ぶりの達成となる。山本は2019年に防御率1.95を記録しているが、今季は2019年を超える投球を披露。11人目の「防御率1.50以下での最優秀防御率受賞者」として、過去のレジェンドと並んでもおかしくはない。

17年の巨人・菅野は防御率1.59でタイトルを獲得していた
ちなみに、規定投球回に到達した上で防御率1点台を記録したことのある現役NPB選手は、山本と田中以外では
内海哲也、
野村祐輔、
菅野智之、
大野雄大、吉川光男、
チェン・ウェイン、
和田毅、
金子千尋、
森下暢仁の9人が挙げられる。このうち、チェンは2009年に1.54、菅野は2017年に1.59で最優秀防御率のタイトル獲得と、1.50以下でのタイトル獲得まであとわずかのところまで迫った。
山本は現在14連勝中と手が付けられない状態だ。チームは現在1位だが、2位
ロッテに優勝マジックがともっている。悲願のリーグ優勝に向けても、残りの登板試合は1点も相手に与えない投球が求められる。この難題を見事クリアできれば、史上11人目の「防御率1.50以下での最優秀防御率受賞」も達成できるだろう。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM