歴史は繰り返される？

　2021年のパ・リーグを制したオリックス。ニックネームがバファローズとなって初の栄光でもある。その起源はプロ野球の創設に参加した阪急で、ニックネームはブレーブス。1967年に初のリーグ優勝、その後は長い黄金時代を謳歌した阪急だったが、88年を最後に阪急は歴史を終え、翌89年からオリックスとして生まれ変わった。その翌90年にはブレーブスもラストイヤーを迎えて、続く91年にはブルーウェーブとして再スタート。この新たなニックネームは本拠地を阪急の時代からの西宮球場からグリーンスタジアム神戸へ移したことも由来だった。

　優勝からは遠ざかっていたが、阪急、そしてブレーブスの強さは新生チームでも健在。阪急ラストイヤーの88年を最後に、つまりオリックスとなってから90年代は常にAクラスを維持する強力チームだった。とはいえパ・リーグでは80年代から新たに西武が黄金時代に突入していて、その牙城を崩すには至らず。風向きが変わり始めたのは94年、仰木彬監督が就任してからだ。世紀にまたがって日米で安打を量産し続けたイチローがブレークしたシーズンでもある。

　このときはバファローズ、つまり近鉄と同率2位。さらなる飛躍を懸けて迎えた95年だが、1月に神戸を震災が襲う。ナインの多くも被災者となったが、「がんばろうKOBE」を合言葉に一致団結、2位のロッテに12ゲーム差の大差をつけて、オリックスとして初のリーグ優勝。この95年は日本シリーズで黄金時代のヤクルトに敗れたものの、翌96年はイチローの劇的サヨナラ弾でリーグ連覇を決めると、日本シリーズでも“メークドラマ”の巨人に4勝1敗で快勝して日本一に輝いている。

　そこからオリックスは優勝から遠ざかり、球界再編を経て現在のバファローズとなってからは無縁に近くなったが、ブルーウェーブ初優勝で王座から転落したのが西武。この2021年は黄金時代の西武から遺伝子を受け継いだ印象もあるソフトバンクがBクラスに沈んだ。CSとしてシステムは新しくなったが、歴史は繰り返され、時代も変わるのだろうか。

文＝犬企画マンホール　写真＝BBM