チームに勝利を呼ぶ存在であるクローザーは今季どのような働きを見せたか。セ・リーグ6球団の「守護神」の評価はいかに？　100点満点で採点した。

読売ジャイアンツ

巨人　50点

　序盤はR.デラロサが務め、6試合で5セーブをマーク。しかし、4月15日に米国市民権取得手続きのために渡米、約1カ月チームを離れることになる。ここで代役として起用されたのがT.ビエイラだ。抜擢直後は安定感を欠き、即二軍調整となったが、5月中旬に復帰後は安定した投球を見せ、デラロサが再離脱した6月以降、再びクローザーを任されることに。球宴にも初選出されるほどの好調さで、9月1日のヤクルト戦(京セラドーム)で32試合連続無失点のNPB外国人新記録を達成した。今季はNPB最速の166キロを記録するなど話題に事欠かなかったが、9月に右ヒジ違和感を訴え、一時登録抹消。復帰後はたびたびセーブ失敗をするなど残念なラストとなってしまった。来季もデラロサ、ビエイラがクローザーの筆頭候補と予想される。

阪神タイガース

阪神　100点

　19試合連続無失点を続けるなど42セーブで2年連続セーブ王に輝いたロベルト・スアレス。62試合、62回1/3を投げ防御率1.16という驚異の数字を残しただけに100点をつけないわけにいかないだろう。スアレスのすごさは球の速さではなく、四球が8個しかない抜群のコントロールと安定感だ。ほとんどの登板を3人で終わらせるというチームにとっても安心してマウンドに送り出せるクローザーであった。そのスアレスがメジャーのパドレスと契約。来季のクローザーが白紙になった。これはチームにとって一番の課題だ。第一候補としてはセットアッパーの岩崎優か。球の強さだけで言えばアルカンタラ、藤浪晋太郎も面白い。

東京ヤクルトスワローズ

ヤクルト　70点

　本来ならば石山泰稚がクローザーだが、不調に陥り、代わってマクガフが9回のマウンドに立った。たとえ“代役”でも、リードを守り切らなければならないマウンドに立ち、見事に役目を果たしたマクガフは立派だが、やはり1年を通してクローザーを固定したかったことから、70点とした。マクガフは日本シリーズでは2敗を喫したものの、第6戦は3イニングをまたいでの力投で、20年ぶりの日本一に大きく貢献している。来季、9回に誰が立つのかは未定。クローザー出身の高津臣吾監督だからこそ、しっかりと春季キャンプ、オープン戦で見極めていくはずだ。

広島東洋カープ

広島　98点

　ルーキーながらクローザーに指名された栗林良吏が、新人最多タイの37セーブ。セーブシチュエーションでの登板では一度の失敗もなく、シーズン終盤は登板20試合連続セーブを記録。防御率0.86でシーズンを投げ切った。同点からの登板でのサヨナラ負け(6月13日、オリックス戦＝京セラドーム)があるので100点満点とはいかないが、救援失敗に当たるのはその1敗のみなので、ほぼ満点をつけていい成績だ。となると、来季の構想もクローザーは栗林の一択。もちろん、相手チームも研究してくるはずで、「2年目のジンクス」にぶつかる可能性もゼロとは言えないが、現時点でほかに選択肢があるはずもない。むしろ「栗林までどうつなぐか」がカギだろう。

中日ドラゴンズ

中日　85点

　今年も竜の抑えは「ライマル」ことR.マルティネスだった。来日最多の23セーブをマーク。中日では岩瀬仁紀の2013、14年以来となる2年連続の20セーブ以上だった。160キロ前後のストレートには高さも角度もあり、48投球回で59奪三振は合格点だろう。ただ今年は1勝4敗と失敗も目立ち、新型コロナ禍の影響で開幕が遅れ、交流戦を前にキューバ代表として東京五輪の予選に出場するためチームを離れた。その際は祖父江大輔、又吉克樹が代役を果たした。抑えのトータルでは85点か。来季の抑えは、もちろんライマル。今年で2年契約が切れ、流出の噂もあったが、中日とキューバの絆は強く、オフに新たな契約を結んだ。優勝のためには40セーブ以上がノルマとなる。

横浜DeNAベイスターズ

DeNA　30点

　前年と変わらず9回は三嶋一輝、8回のセットアッパーに山崎康晃という配置で開幕を迎えた。しかし、クローザー2年目の三嶋は安定感に欠け、7月以降はリードを守り切れない試合が続く。8月は持ち直したが、9月に再び打ち込まれると三浦大輔監督は山崎を1年ぶりにクローザーに復帰させた。しかし、2018年、19年のセーブ王も精彩を欠き、最終的にはクローザー不在のままシーズンは終了。事態を重く見た球団は今オフ、メジャーから190センチ右腕のクリスキーを獲得。来季は新助っ人、三嶋、山崎、伊勢大夢らが横一線でクローザーの座を争うことになる。

写真＝BBM