
今季も本塁打王、打点王に輝いた岡本。巨人の四番の役割を果たした
今季のセ・リーグは、巨人の
岡本和真が本塁打(
ヤクルト・
村上宗隆と同数)と打点の2冠を獲得。2年連続で「本塁打」と「打点」の2冠を獲得した選手は、巨人では
王貞治のみ。岡本は偉大な先輩に並ぶ大記録達成となった。もし来季も2冠王となれば「3年連続」となるが、もし達成した場合は史上何人目の快挙なのだろうか?
3年連続で本塁打、打点の2冠王になったのは王と野村のみ
結論から言えば、「本塁打」と「打点」の2冠王に3年連続で輝いた選手は、NPB史上2人しかいない。王貞治と
野村克也のみだ。

現役時代、驚異的な打撃を見せた王
●王貞治(1964年~1974年)※三冠達成年含む
1964年 本塁打王、打点王(首位打者:
江藤慎一/
中日)
1965年 本塁打王、打点王(首位打者:江藤慎一/中日)
1966年 本塁打王、打点王(首位打者:
長嶋茂雄/巨人)
1967年 本塁打王、打点王(首位打者:
中暁生/中日)
王は1964年から1967年まで4年連続で「本塁打」と「打点」の2冠を獲得。実は1962年にも本塁打と打点の二冠を獲得し、翌1963年も本塁打王になっているが、打点王は長嶋だったため記録は続かなかった。しかし、長嶋との打点差はわずか6。もし逆転していれば、6年連続で本塁打、打点のタイトル獲得となっていた。また、1968年にも再び長嶋が打点王になっており、1964年からの王の連続獲得記録は4年でストップ。またもやチームメートに阻まれることになった。
ちなみに、首位打者・本塁打・打点の3つのうち、どれか2つということであれば、王は以下のように三冠を含む「11年連続」で獲得していることになる。
1968年 首位打者、本塁打王(打点王:長嶋茂雄/巨人)
1969年 首位打者、本塁打王(打点王:長嶋茂雄/巨人)
1970年 首位打者、本塁打王(打点王:長嶋茂雄/巨人)
1971年 本塁打王、打点王(首位打者:長嶋茂雄/巨人)
1972年 本塁打王、打点王(首位打者:
若松勉/ヤクルト)
1973年 首位打者、本塁打王、打点王 ※三冠王
1974年 首位打者、本塁打王、打点王 ※三冠王

戦後初の三冠王にも輝いた野村
●野村克也(1962年~1967年)※三冠達成年含む
1962年 本塁打王、打点王(首位打者:
ジャック・ブルーム/近鉄)
1963年 本塁打王、打点王(首位打者:ジャック・ブルーム/近鉄)
1964年 本塁打王、打点王(首位打者:
広瀬叔功/南海)
1965年 首位打者、本塁打王、打点王 ※三冠王
1966年 本塁打王、打点王(首位打者:
榎本喜八/東京)
1967年 本塁打王、打点王(首位打者:
張本勲/東映)
野村は1962年に自身初の2冠王に輝いてから、1967年まで6年連続で「本塁打」と「打点」の2冠を獲得し続けた(1965年は三冠王)。通算本塁打や本塁打王の獲得回数は王に軍配が上がるが、「本塁打と打点の2冠王の連続獲得回数」では、王を上回る成績を残している。
2年連続での達成も実はレア記録
今回、2年連続で本塁打、打点の2冠王となった岡本。王や野村以外では、ほかに誰が達成しているのか調べてみた。
●
山本浩二(
広島/1980~1981年)
●
ランディ・バース(
阪神/1985~1986年)※2年連続三冠王
●
落合博満(
ロッテ/1985~1986年)※2年連続三冠王
●
オレステス・デストラーデ(
西武/1990~1991年)
●
松中信彦(ダイエー/2004~2005年)※2004年は三冠王
2年連続で本塁打と打点の2冠に輝いた選手は、今季達成の岡本、先に挙げた王、長嶋を含めても8人しかいない。例えば、
松井秀喜は本塁打と打点の2冠王を3度経験しているが、2年連続で獲得したことはない。2つのタイトルを2年連続で極めることは、当たり前だがそう簡単ではないのだ。
本塁打と打点の2冠を3年連続で獲得したのは王と野村の2人だけ。今季、2年連続で二冠王となった岡本は、来季「3年連続」への挑戦権を唯一持っている選手となる。果たして史上3人目の快挙を達成し、その先の4年連続、6年連続という偉大な記録へと挑戦できるのか、岡本の挑戦から目が離せない。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM