チームリーダーとして反省の言葉

早実の主将・壽田は豊南高との東京大会2回戦を「三番・中堅」で出場。3ランを含む2安打7打点で3回戦進出に貢献している
チームスローガンは「原点回帰」。早実の主将・壽田悠毅(3年)はその意図を語る。
「初心に戻って、泥臭くやろう、と。守りから流れをつかんで、攻撃では走塁、機動力を含めや細かい部分を詰めて攻めていく」
豊南高との2回戦(4月8日)は苦しい展開となった。早実は3回裏に1点を先制も、4回表に3失点で逆転を許す。2点を追う5回裏は打者11人で一挙7得点。三番・壽田は高校通算16号となる3ランを放った。6回裏にも2点を加えて10対3とし、7回表を抑えれば
コールド勝利(7回7点差以上)も、二死後に3失点。結局、11対7で何とか逃げ切った。
三番の壽田は2安打7打点と大暴れも、チームリーダーとして反省ばかりが口をつく。
「初戦(1回戦、11対4武蔵丘高)も硬くなって、自分たちの打撃ができなかった。反省を生かそうと、このゲームに挑みましたが、難しい試合になってしまいました。野球を知らないといけない。防げる失点を抑えないと、(上位には)勝ち上がれません」
打線の突破口を切り開いたのは「一番・二塁」で初先発した
宇野真仁朗(1年)だった。入学式を終え、この3回戦が初のベンチ入り。早実・和泉実監督は起用の意図を明かす。
「パンチ力がある。1枠(背番号20)を空けておいたんです。(2、3年生に)刺激を与える意味でも入れました。最初は緊張していたようですが、思い切りやってくれた」
第2打席の3回表、二死走者なしから左中間三塁打で出塁し、先制のホームを踏むと、5回表には適時打で初打点。8回表には先頭で左中間三塁打を放ち、高校デビュー戦を3安打で飾った。豪快なスイングが持ち味である、右の大型内野手だ。小学校時代は侍ジャパンU-12代表、ジャイアンツジュニアでプレー。市川シニア時代にはシニア日本代表を経験しており、豊富な経験値が実戦で生かされた。チームを活性化させたスーパー1年生を、主将・壽田は手放しで褒めたたえた。
「昨日、背番号20で入ると聞き『元気良く、思い切りやれ!』と言ったんです。1人で奮起してくれました。感謝しています」
早実に限らず、コロナ禍で十分な練習試合が積めず、手探りの状態が続く。公式戦1試合こそが、貴重な成長の場である。
「一つでも多く、春の大会を経験し、夏につながる試合をしていきたい」(主将・壽田)
目標は言うまでもなく、2015年以来の夏の甲子園出場。伝統校・早実は全員が泥んこになって、1点を奪いにいき、失点を防いでいく。
文=岡本朋祐 写真=BBM