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秋山翔吾がパドレスとマイナー契約に、西武ファンから「激励の声」が

 

マイナーからメジャーを目指す決断


レッズでは結果を残すことができなかった秋山


 レッズを自由契約になっていた秋山翔吾がパドレスとマイナー契約を結ぶことがメディア各社で報じられた。

 秋山は2019年オフに西武から海外FA権を行使。20年は新型コロナウイルスの影響で60試合に短縮になり、54試合出場で打率.245、0本塁打、9打点、7盗塁。試行錯誤が続いたが、シーズン終盤の9月にチームトップの月間打率.317、出塁率.459を記録するなど一番打者に定着し、7年ぶりのポストシーズン進出に貢献した。ただ、昨季は左太もも裏を痛めた影響で開幕から出遅れ、88試合出場で打率.204、0本塁打、12打点、2盗塁。契約最終年の今季は春季キャンプで打撃改造を試みたが、オープン戦7試合で打率.182と結果を残せず、メジャー40人枠から外されて4月5日(日本時間6日)に退団した。

 西武在籍時は球界を代表する安打製造機として活躍し、15年に216安打でNPB歴代最多記録を樹立。シーズン最多安打のタイトルを4度獲得した。17年には打率.322で首位打者を獲得している。レッズ退団が報じされた際は、西武、ソフトバンクが獲得を検討していることがメディアで報じられたが、秋山は米国にとどまりメジャー昇格を目指すことを決断した。

「米国でやり残したことがあるのでしょう。秋山らしい決断だと思います。パドレスは、正右翼手のマイヤーズが故障者リスト入りし、外野の層が薄い。早期にメジャー昇格は十分に考えられます。筒香嘉智もレイズ、ドジャースで苦しみましたが、パイレーツでチャンスをつかんで首脳陣の信頼を得た。秋山は外野の守備能力がメジャーで高水準です。打撃で結果を出せば、レギュラー定着の可能性は十分にあります」(米国駐在の通信員)

古巣に当てはまるピースだったが


 西武にとっては複雑なニュースかもしれない。最下位からの巻き返しを狙う今季は山川穂高がリーグトップの9本塁打と絶好調で、投手陣もリーグ2位の防御率2.59と奮闘している。懸案材料は固定できない「一番打者」だ。プロ6年目の鈴木将平が開幕から起用されていたが、4月中旬以降は源田壮亮山野辺翔愛斗岸潤一郎金子侑司がスタメン出場するなどなかなか固まらない。18、19年にリーグ連覇した際の原動力にもなった秋山は「補強のピース」にピタリと当てはまる。チャンスメークすることで得点力が上がり、野球に取り組む姿勢も若手のお手本になるなど、チームに与えるプラスアルファは計り知れない。

 だが、西武ファンからはSNS上で「残念な気持ちより、メジャーで活躍して思いのほうが強い。いつか西武に戻ってくれれば」、「米国で納得いくまでとことんやってほしい。西武ファンは応援しています」など激励のメッセージが目立つ。

秋山翔吾という男の信念


 秋山は西武時代に週刊ベースボールの連載コラムで、16年6月に「メンタル」というテーマでこのように綴っている。

「メンタルの強さという言葉に置き換えられるかどうかは分からないですけど、我慢というか、何かをやり遂げた先に花開く――という考え方をするようにもなりました。どうしても体がしんどくて、練習をやりたくないと思うときもあるでしょう。そこで心にムチを打って乗り越える。素振りにしても最後の一振りを緩くやっても、力強く振っても、練習は終わる。妥協することなく、しっかりと力を抜くことなく最後までやり抜いたことが1本のヒットにつながるかもしれない、と。そういったことは昔から……おそらく中学生のころから考えていました。他人が苦しいときに、いかに自分が頑張ることができるか。しんどいときに、しんどい顔をするのは非常に簡単なことでしょう。グチをこぼしてしまうこともありましたけど、なるべくこらえて。1本でも多く、人よりバットを振るといったことは常に心がけていました」

「とはいえ、一生懸命に練習したからといって、試合で必ず打てるわけではありません。イメージとしては、走ることも、バットを振ることも、運を積み重ねているというか。すべてが成功につながらない。重要な場面で『嫌だな』と思っても成功する人は成功するし、『大丈夫』と思っても失敗する人は失敗します。絶対はない。でも、しんどいときに頑張れば野球の神様が見ている、と。なんとか、そこで運を引き寄せるような行いというか、なにかに結び付けて成功の方向に持って行くようにしようとすることが必要だと思っています。それを信頼して、そのためのダッシュ1本、と考えているところもありました」

 努力家で野球にストイックな秋山がメジャーに昇格し、輝く姿を願うばかりだ。

写真=Getty Images
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