交流戦は4安打締め
6月12日の中日戦では先制の適時二塁打を放った
パ・リーグ首位打者を走る
日本ハム・
松本剛のバットは交流戦でも衰えなかった。6月12日の中日戦(札幌ドーム)では4打数4安打。3回に先制点となる適時二塁打を放つなど大活躍だった。交流戦では全18試合に出場し、73打数25安打、2本塁打、13打点、打率.342。通算でも.358で2位の
ソフトバンク・
今宮健太に1分5厘の差をつけている。
好調の理由についてお立ち台で松本は「きつねダンスですかね(笑)」と冗談めかしたが、バットの存在も大きいという。「僕はあまりバットを変えるタイプじゃなくて、2015年ごろからほとんど長さ、重さ、形を変えていなかったんです。ところが、去年の5月ごろからグリップを“かなり”太くしたバットを使いだして、すごく技術とマッチした。それがいま使っているバットです」。
きっかけは
ヤクルトの
山田哲人や
村上宗隆が太いグリップを使っていると聞き、試してみたところ「彼らはタイプ的に違いますが、握った感触が自分にも合ったからだ」と言う。ただ、松本は「“かなり”太く」と表現するが、もともと使っていたバットのグリップが極端に細かったため、太さを変えたといってもほかの選手と比較すればわずかに太い程度だ。
以前は長打を欲しがり、グリップは細く、トップバランスのバットを愛用してきたが、昨季発想をガラリと変えた。
「飛距離があるほうではなかったのに、長打を求めても限界があると感じました。とにかくヒットを打って出塁する。確実性こそが自分の生きる道だ、と」。そう考えたときに、今のバットがしっくりきた。
「グリップが太いので握ったときに安心感が出て、バットの操作性が増しました。バランスも手元に近くミドルに変えています」
プロ11年目で覚醒した松本。新しい相棒とともに、ペナント再開後もコンスタントに打ってチームの勝利に貢献する。
写真=高原由佳