江夏は3連続で空振り三振

84年の福本。オールスター後の8月には通算1000盗塁を達成している
オールスターの奪三振ショー、1971年の第1戦(西宮)での
江夏豊(
阪神)による9連続と、84年の第3戦(ナゴヤ)における
江川卓(
巨人)の8連続を、それぞれクローズアップしている。江夏が先頭の
有藤通世(
ロッテ)を5球で空振り三振に仕留めた一方、江川が対戦した1人目の打者は、“世界の盗塁王”
福本豊(阪急。現在の
オリックス)だった。
福本はパ・リーグの二番打者。リードオフマンは若き韋駄天の
大石大二郎(近鉄)に譲っていたが、長打もあった福本は前年のオールスターでは江川から本塁打を放っていた。江夏と同様、江川は初球がボールに。江夏は2球目がファウルでカウントを稼いだが、江川はボールを続けてしまう。3球目がファウルで、ようやく1ストライク。だが4球目もボールに。5球目が見逃しのストライクとなり、これでフルカウントとした。そして6球目、江川は自慢の快速球を投じて、見逃し三振に。倒れた福本は「去年オールスターでホームランを打ったときより速かった」とコメントしている。
さて、江夏。1回表一死として、パ・リーグの二番打者は
基満男(西鉄。現在の
西武)だった。しぶとい打撃と堅実な二塁守備で鳴らした職人肌の基は、1球目がファウル。2球目、3球目とボールが続いて、4球目を見送って2ボール2ストライクに。そこから江夏はストレートを投じて、基は空振り三振に倒れた。続く三番打者は
長池徳二(阪急)。黄金時代にあった阪急の四番打者だ。長池は初球を空振り、2球目を見逃して2ストライク。江夏は3球目を外したが、4球目はフォークを投じて空振り三振に。3連続空振り三振で1回表を終えた。
一方の江川は、二番手として登板したことで、3者連続で阪急の打者と対戦することになる。黄金時代は過ぎていたとはいえ、この84年は最後のリーグ優勝を飾った阪急。パ・リーグの三番に入っていたのは蓑田浩二、そして四番は最終的に外国人選手として初めて三冠王に輝く
ブーマーだった。江川は初球、2球目と続けて見逃しのストライクとして蓑田を追い詰めるが、そこから蓑田が粘る。
<次回に続く>
文=犬企画マンホール 写真=BBM