「ゼロに抑えたのは、自信になります」

専大松戸高で背番号10を着ける右腕・青野は習志野高との千葉県大会準決勝を7回無失点で、チームのコールド勝利に貢献している
春のセンバツ出場校は「追われる身」である。
夏に向けた春季県大会は、どういう位置づけなのか。竜ケ崎一高(茨城)、藤代高(茨城)、常総学院高(茨城)、2008年から指揮する専大松戸高(千葉)でいずれも甲子園で指揮した74歳のベテラン・持丸修一監督は言う。
「センバツから帰ってきて、整理整頓がつかないまま、春の県大会に入る。2番手の投手を確立することが、チームとしては最高。勝敗は別にして、その意向は決めていた」
今春のセンバツでは持丸監督自身、春夏通算11回目の甲子園で初の8強進出を果たした。専大松戸高の躍進の原動力となったのは、プロ注目の151キロ右腕・
平野大地(3年)である。
つまり、この春は「脱・エース」がテーマ。
習志野高との千葉県大会準決勝(5月3日)で、背番号10を着ける右腕・青野流果(3年)が7回5安打無失点で、チームの7回コールド勝利(8対0)に貢献した。持丸監督は「(青野は)80点。ストレートの精度が甘かったり、つまらないボールもあった。2ボール、3ボール、3ボール1ストライクとかをつくってはいけない。どんどん攻めていけるようにならないといけない」と手厳しかった。一方で、ゼロに抑えたことを評価し「平野、平野じゃなくて、青野も行けるぞ! というところを見せられた。攻撃陣が援護してくれることが前提ですが、どことやっても投げられるのかな……」と手応えを口にした。
青野は広陵高(
広島)とのセンバツ準々決勝を3番手で救援し、1回2/3を2安打無失点に抑えた。甲子園帰りから、春季県大会までの期間で強化。「スライダーでカウントを取り、かわすタイプでしたが、センバツ後は真っすぐの質を求めた。大きな進歩です」。最速139キロのストレートにキレが増し、スライダー、ツーシーム、カーブもより効果的に使えるようになった。
「春の大会までに修正して、今大会に挑んでいる。ゼロに抑えたのは、自信になります」
青野は同級生・平野の存在について語る。
「成長する上で、特別な存在です。球速アップの際もアドバイスを求めたりしています。夏は、自分が背番号1を取るつもりです」
2番手にとどまらず、エースを目指すと力強く語った青野。専大松戸高は右腕・
深沢鳳介(現
DeNA)を擁した21年に春夏連続甲子園へ出場しているが、今夏への準備は万全だ。この日の勝利で、関東大会出場(5月20日開幕。神奈川県開催)が決定。さらに大きなステージで、成長する機会が残されている。
文=岡本朋祐 写真=BBM