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今季14試合出場のみも…他球団が「第2の細川成也」と評するドラ1野手は

 

人材豊富な「99年世代」


今年で6年目を迎えている中村奨


「99年世代」は豊作だ。村上宗隆(ヤクルト)は昨季、日本選手記録の56本塁打を樹立し、21歳で史上最年少の三冠王を獲得。ドラフトで高校生史上最多タイの7球団が競合した清宮幸太郎(日本ハム)も昨季から就任した新庄剛志監督の下、和製大砲の素質を開花させようとしている。侍ジャパンでリリーバーとしてWBC制覇に貢献した大勢(巨人)、湯浅京己(阪神)、先発、救援で能力の高さを発揮している平良海馬(西武)もこの世代だ。

 ただ、アマチュア時代に輝いた選手がプロで活躍できる保証はない。ドラフト1位指名から6年。中村奨成(広島)は一軍に定着できず、背水の陣を迎えている。

 広島で生まれ育ち、広陵高で強肩強打の捕手として頭角を現す。その名を全国に届かせたのが3年夏の甲子園だった。準決勝までの4試合で、3試合連続本塁打を放つなど6本塁打をマーク。1大会で個人最多本塁打の新記録を更新した。通算17打点も個人最多打点記録で、ドラフトの目玉に。中日と広島が1位指名で競合し、広島が当たりクジを引き当てた。

遠い一軍定着の道


 地元出身のスター候補生に大きな期待が高まったが、プロ入り後は度重なる故障に加えて、捕手の層が厚いことからなかなか一軍に昇格できない。出場機会を増やすため、三塁や外野に挑戦。プロ4年目の2021年は39試合出場で打率.283、2本塁打、5打点と持ち味の打撃でアピールしたが、昨年は27試合出場で打率.193、0本塁打、5打点と不本意な結果に。オフの契約更改では、野球に真摯に取り組むように球団から苦言を呈されたことが報じられ、話題になった。

 月日が経てば、立場も変わってくる。新井貴浩監督の方針で今年から坂倉将吾が捕手に専念することになり、會澤翼も控える。開幕二軍スタートの中村奨は4月27日のウエスタン・リーグの阪神戦(鳴尾浜)で牽制を受けて帰塁した際に負傷交代。「左足の重度の捻挫」と診断を受けた。リハビリに打ち込み、6月下旬に実戦復帰すると、ウエスタンでは23試合出場で打率.378、1本塁打、3打点をマークしている。

 他球団のスコアラーは「打撃はファームのレベルではない。一軍でも十分に通用すると思います。DeNAから現役ドラフトで中日に移籍した細川成也が大ブレークしましたが、中村奨も潜在能力は高い。ミート能力が高く、足も速い。パンチ力もありますしね」と高く評価する。

評論家時代の指揮官の評価


 新井監督は野球評論家だった21年に週刊ベースボールのコラムで、中村奨について以下のように綴っている。

「もともと素晴らしい素質の持ち主ですが、プロに入ったときはまだまだ線も細かったですし、1年間戦うだけの体力というところでも、出てくるまで少し時間がかかるだろうなと思っていました。ただ、彼の場合は、やはり甲子園での活躍、清原さん(清原和博、PL学園高)を抜いての1大会6本塁打という新記録を作りましたし、地元・広島の出身ということで、入ったときから普通のドラフト1位選手以上に注目、期待されましたよね。そこに関しては奨成自身いろいろと悩んだりすることもあったんじゃないのかな。私としては、焦らずやってくれればと。足元を見てね、じっくりとコツコツと練習してほしいなと思っていましたね。しっかり鍛えれば、彼のもともとの素質で、一軍で成績を残せる選手に成長できると感じていました」

「ようやく奨成も一軍の舞台で戦うようになりましたし、正捕手に向けて、これからの(坂倉と)2人の成長がますます楽しみですね。切磋琢磨して、どちらを使おうか、首脳陣が迷うくらいレベルの高いところで競争してほしい。そして、それ以上にチームには會澤という、日本を代表するキャッチャーがいますから、彼からたくさんのことを学んでもらいたい、盗んでもらいたいです」

 首位・阪神を追いかける大事な試合が続く中、8月18日に今季2度目の一軍昇格を果たした。今季は代打での起用が多く、14試合出場で打率.200、0本塁打。新井監督の期待に応えるためにも、このままでは終われない。

写真=BBM
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