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【大学野球】チャンスがあれば「二刀流」も…指揮官も野球センスに惚れ込む明大1年外野手・榊原七斗

 

飛躍のシーズンを過ごす秋


優勝の可能性を残す明大は法大1回戦で先勝。6回3安打無失点で今季3勝目[通算11勝]を挙げた4年生右腕・蒔田[左]と、1年生・榊原[右]は3安打を記録した[写真=矢野寿明]


[東京六大学秋季リーグ戦第7週]
10月21日(神宮)
明大5−2法大(明大1勝)

 今年3月上旬の内海・島岡ボールパーク。明大・田中武宏監督は「守備力は、チーム内でも相当上のレベルにある」と、合流したばかりの1年生・榊原七斗(報徳学園高)の野球センスに惚れ込んでいた。

 田中監督は外野手出身。明大時代は守備範囲の広いディフェンス力と脚力が、御大(島岡吉郎元監督)に認められ、出場機会に恵まれただけに、説得力のある言葉である。

 50メートル6秒0。1年春から7試合に出場。代走要員として神宮に立ち、試合終盤の守備、代打としても貴重なピースとして機能した。初先発に起用された立大2回戦では5打数2安打2打点と、実戦向きの好選手である。準優勝だった全日本大学選手権でも4試合中3試合で途中出場。青学大との決勝では代打から中堅の守備に入り、1安打を放った。

 1年春のリーグ戦経験を経て、秋はレギュラーとして、飛躍のシーズンを過ごしている。開幕から4試合は途中出場。早大1回戦では代打で同点適時打を放つと、2回戦から先発として中堅に定着。法大1回戦(10月21日)では適時打を含む自身初の3安打を記録した。

 東京六大学リーグ戦の優勝争いは慶大、早大、明大の3校に絞られている。明大は85年ぶりの4連覇へ、1敗もできない状況となっている。連勝すれば9勝3敗、勝ち点4となり早慶戦の結果待ち(慶大が勝ち点で優勝。早大2勝1敗で明大との優勝決定戦。早大連勝で早大優勝)でVの可能性が残る星勘定である。

 法大戦を控え、田中監督は全員の前で言った。

「最後まで優勝争いができるのは幸せなこと。4年生中心の頑張りがあったからこそ。(最後まで)頑張り抜こう」

明大の1年生・榊原は法大1回戦で自身初の3安打を放った。写真は4回表の左前打[写真=矢野寿明]


 1年生・榊原は「打撃は後ろにつなぐ。守備はしっかり守る」と自身の役割に徹した。初の3安打についても「調子が良いという意識はない。後ろにつなぐつもりでバットを振った」と、控えめに話した。5対0の6回裏二死満塁で打ち上がった中飛は太陽の位置から難しい打球となったが、落ち着いて捕球。田中監督は「打撃はしぶとい。スローイングはウチの中でも上位」と、攻守で貢献している。

 送球の安定感は「元投手」からきている。報徳学園高では145キロ左腕として活躍した一方で、高校通算15本塁打を放った「二刀流」だった。明大入学以降は外野手に専念しているが「投手ですか? チャンスがあればやりたいです」と目を輝かせる。野球をよく知っている榊原。上級生になれば、明大を背負っていく選手になるのは間違いない。

文=岡本朋祐
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