指導スタッフの教育の賜物

横浜高は今秋の神奈川県大会を2年連続制覇。優勝旗を持つ主将・小野は、関東大会に向けて決意を新たにした[写真=田中慎一郎]
【10月7日】
秋季神奈川県大会決勝
横浜高12-0法政二高
横浜高・村田浩明監督は礼を尽くす指揮官だ。
10分間の試合前ノック。最後はキャッチャーフライで締めるのだが、これが、見事なまでに真上に上がる。相当な技術が必要とされるが、かなり高い確率で「成功」する。気持ち良くノックを終えて、ラインに一列に並んで深々と頭を下げる。選手たちはダッシュでベンチへと駆けていくが、村田監督はその場に残る。ホームベース上の土を素手でキレイに拭き払ってから、ゆっくりと戻る。手についた土を見て、まるでグラウンドコンディションを確認しているかのような仕草である。
試合会場を使用させてもらっているという「感謝」を体現。見ていて、清々しい行動だ。

2020年4月から母校・横浜高を指揮する村田監督。試合前ノック後、必ず行っている所作である[写真=田中慎一郎]
横浜高は法政二高との秋季神奈川県大会決勝を12対0で、2年連続21度目の優勝を遂げた。これで、県内公式戦27連勝である。
結果的にワンサイドも、2回までは双方無得点。横浜高は打線が2巡目となった3回以降に得点を重ね、対応力の高さを見せた。主将・小野舜友(2年)の試合後の言葉から、村田監督の指導が行き届いているのが分かる。
「序盤はうまくいかなかった。そこが、法政二高さんの強さだと思いますし、横浜の野球をもっと展開していれば、楽な勝ち方ができたかもしれませんが、そこをさせてくれなかったのが法政二高さん。歴史のある強いチームとやれて良かったと思います」
現役の高校球児が、「古豪」と言われて久しい法政二高の昭和の活躍を知る由もない。1960年夏、61年春に甲子園で夏春連覇した伝統校も、春は84年、夏は88年を最後に全国舞台から遠ざかっている。かつては神奈川のトップランナーであった法政二高を東海大相模高、横浜高が追いつけ、追い越せという構図だったが、すでに過去の話である。それでもなお、小野主将の口から「歴史のある強いチーム」というコメントが出てきた。村田監督以下、指導スタッフの教育の賜物と言えるだろう。
「一戦必勝で臨んでいきたい」
横浜高は今春のセンバツ甲子園で19年ぶり4度目の優勝を達成した。
松坂大輔を擁した1998年以来の春夏連覇を狙った今夏の甲子園は準々決勝で敗退。旧チームは、2年生の5月からキャプテンを務めた阿部葉太(3年)がけん引してきた。この旧体制と現体制を比較すると、村田監督は「能力的には高い」と、新チームのほうが技量は上であると断言した。
ただ、こう付け加えることも忘れなかった。
「(能力が高くても)勝てるかどうかは分からない。阿部の代は能力的には劣っていたかもしれませんが、よくやっていました。なぜか負けない。現チームには飛ばす力があり、投げられる投手も多いですが、やはり、試合で結果を残すためには『勝負強さ』『野球勘』が必要になります。思い返せば、3年生にはそういった要素が持った選手が各ポジションにいました。今は何か足りない。試合を重ねていくにつれて見えてくるものもあるはずです」
村田監督の要求レベルは相当、高い。そこに到達すべく日々、選手たちは努力を重ねている。小野主将の言葉からも汲み取れるように、心が備わったチームであると確信でき今後、さらなるチーム力アップを予感させる。
10月18日には、関東大会が開幕する。来春のセンバツ出場をかけた重要資料となる。
「神奈川の代表として行かせてもらうので、そこで責任と自覚を持って、神奈川の野球というものを山梨の地(開催地)で発揮したい。結果的に一戦必勝で戦い抜き、優勝という形で終われれば最高なので、目の前の戦いを大事に一戦必勝で臨んでいきたいと思います」
主将・小野は決意を新たにした。「圧倒野球」を目指す神奈川王者に、死角は見当たらない。