昨年は自己最多の8勝をマーク

今年はわずか4勝に終わった井上
ドラフト会議が10月23日に都内で開催され、
巨人は事前に1位指名を公表していた社会人No.1左腕・竹丸和幸の単独指名に成功した。
竹丸は力感のないフォームから打者の手元で伸びる最速152キロの直球とスライダー、カーブ、カットボール、チェンジアップを操る。特にチェンジアップに定評があり、思い切り腕を振って球がなかなか来ないため打者はタイミングを崩される。城西大では主にリリーフだったが、社会人で先発として頭角を現し、2年目の今年は都市対抗の1回戦・TDK戦で6回8奪三振1失点の快投を見せるなどゲームメーク能力の高さが際立っていた。
竹丸の指名は、現有戦力に奮起を促す意味合いもあるだろう。同じ左腕の
井上温大はその一人だ。昨年に自己最多の8勝をマーク。3連敗で迎えた
DeNAとのCSファイナルステージでは第4戦に先発し、6回一死まで走者を一人も出さないパーフェクト投球で白星をつかんだ。オフに侍ジャパンに追加招集の形で初選出され、プレミア12の初戦・豪州戦で6回1失点と代表初勝利をマークした。
巨人OBで野球評論家の
小笠原道大氏は若手の時から井上の潜在能力を評価していた。週刊ベースボールのコラムで「楽しみな若手」について言及し、「ピッチャーならストレートが力強く、投げっぷりのいい選手。体をうまく使って全身の力を球に伝え、しっかり腕を振って投げている選手ですね。巨人の井上温大投手は高卒で入団してすぐのころから力強いストレートを投げていました。あとは体を強くして腕が振れるようになり、変化球に磨きをかければ……ということは、その時点で明らかでした」と語っている。
投げ込む球は一級品
だが、今年はプロの世界で活躍し続ける難しさを経験した。20試合登板で4勝8敗、防御率3.70。9月7日に登録抹消されると、上半身のコンディション不良のため故障班で調整を続けてマウンドに復帰できなかった。
投げ込む球が一級品であることは間違いない。3、4月は5試合登板で2勝1敗、防御率2.12と上々の滑り出しだった。圧巻の投球を見せたのは、4月22日の
中日戦(東京ドーム)。左右の打者関係なく内角を果敢に突き、試合終盤に5者連続三振を奪うなど球威が落ちない。制球も安定し、27人の打者と対戦して2ボールとなった打者が2人しかいなかった。8回3安打14奪三振1失点の快投。ストライクゾーンで果敢に勝負する姿に成長を感じたが、5月以降は苦しむ。要所で踏ん張れないマウンドが続き、3カ月も白星から遠ざかった。
7月31日の中日戦(バンテリン)では、5回途中8安打3失点で降板。
阿部慎之助監督の怒りを買ったのは、投球以外の姿勢だった。一、二塁間に飛んだ打球でベースカバーに入るタイミングが遅れて安打を許し、降板する際に指揮官にマウンド上で厳しい言葉を掛けられた。
輝きを取り戻すために
それでも、首脳陣の期待は大きい。
長嶋茂雄終身名誉監督の追悼試合となった8月16日の
阪神戦(東京ドーム)で先発を託された。だが、3回5安打3失点と試合を作れずに降板。その後の登板でも輝きを取り戻すことができなかった。
投球が通用していないわけではない。今年は107回を投げて100奪三振。指に掛かった直球に空振りして驚く打者もいた。課題は変化球の精度を高めること、そしてメンタルコントロールだろう。走者を出すとリズムが単調になり、集中打を浴びる傾向があった。ベースカバーにきっちり入るなど投球以外のこともきっちりやらなければ、信頼を得られない。
リーグ連覇を逃した巨人は今オフの補強が注目される。先発ローテーションで当確と言えるのは
山崎伊織だけだろう。
フォスター・グリフィンはメジャー復帰の可能性が報じられている。チーム内の競争が激しくなるが、ドラフト1位で指名された竹丸には負けられない。井上の奮起に期待したい。
写真=BBM