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【大学野球】早大で早川隆久以来の“投手キャプテン”香西一希 2人に相通ずる3つの能力

 

小宮山監督が高評価


2026年の新主将に就任した早大・香西。20年にWASEDAのキャプテンを担った楽天・早川との共通点が多い[写真=矢野寿明]


 早大は11月8日、同野球部ホームページで2026年の新幹部を発表した。第116代の主将に就任したのは左腕・香西一希(3年・九州国際大付高)である。

 小宮山悟監督が19年1月1日から母校を率いて以降、投手でキャプテンの大役は20年秋、10季ぶりのリーグ制覇に貢献した通算14勝左腕・早川隆久(楽天)以来2人目だ。

 サウスポーである共通点のほか、2人には相通ずる3つの能力がある。

 まずは、探求心だ。自らで考え、計画を立て、実践する行動力がある。すべてを野球に時間を割き、ピッチングを突き詰める求道者だ。自己推薦入試で早大の門をたたいたという経緯もあり、勉学においても努力家である。

 次に、投手の武器となる奪三振力である。早川は10季ぶりの天皇杯を奪還した4年秋、三振奪取率が14.48(46イニングで74奪三振)と圧巻の数字を残した。香西は1年秋の神宮デビューから26試合、すべて救援登板で、奪三振率は10.66(25回1/3で30奪三振)をマーク。球速表示よりもボールのキレを意識し、変化球の出し入れで勝負できるクレバーさも、早川の投球スタイルに似ている。

 最後に、責任感だ。マウンドに上がった以上、誰にも譲らない心身のタフさがある。早川は4年秋、4完投(うち2完封)で防御率0.39と圧倒した。香西はすべてリリーフ登板の背景として、ここ一番を任せる小宮山監督からの全幅の信頼がある。いつも学生の評価には手厳しい指揮官も、香西については別格だ。

 小宮山監督はプロの現役時代に「精密機械」と呼ばれた。スピードではなく、針の穴を通すコントロールで、強打者に勝負を挑み、NPB通算117勝を挙げ、メジャー・リーグのマウンドも25試合立った。2年夏の新潟・南魚沼キャンプで、香西をこう評していた。

「あの体(171cm81kg)、あのボールでバッターに立ち向かっていく魅力。力を出そうという気は、さらさらない。『打てるものなら打ってみろ』と。気持ちです。魂を込めたボールは、そんなに打たれない。一球入魂。(初代監督の)飛田(穂洲)先生の教え。私自身も飛田先生の薫陶を受けた石井連蔵イズムを、身をもって実践し、プロでも長いこと投げてきた。仮にすごい選手にやられても、何とかなる、と。自分が劣っているという強さを常に考えて、(打者の)力量と技術を見計らって投げることは大事。(香西は)こちらが考えていることに近い」

早大の先輩・和田を心酔


 この年代で、香西が最も経験値が高く、小宮山監督が主将を託すのも、自然の流れだった気がする。ポリシーはこうだ。早大の先輩・和田毅(元ソフトバンクほか)を心酔する。

「力だけで投げる1キロよりも、コントロールされた1キロを追い求める」

 この秋でリーグ戦通算22勝のエース・伊藤樹(4年・仙台育英高、楽天2位)が卒業した。2年生右腕・高橋煌稀(仙台育英高)が今秋、先発などで3勝と育ってきており、今夏の侍ジャパン大学代表の左腕・宮城誇南(3年・浦和学院高)、さらには越井颯一郎(3年・木更津総合高)、安田虎汰郎(2年・日大三高)、左腕・佐宗翼(1年・星稜高)も控える投手陣は層が厚い。とはいえ、背番号10を着ける香西がキーマンとなることは間違いない。

 香西は今春のリーグ戦を前にして、先発へのこだわりを口にしたことがある。高校時代は先発完投が当たり前であり、チームの勝利のためなら、どんな立場でも受け入れる構えだ。

 コメントの一つひとつが理路整然としており、一本筋の通った性格は、和田、早川を彷彿とさせる。「チーム香西」の2026年、早大はチーム目標として「天皇杯奪還」に挑んでいく。

取材・文=岡本朋祐
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