「中京愛」は父から継がれたDNA

中京野球クラブはセンバツに合わせてウェアを贈った。右は山田会長、左で贈呈されたウェアを着用するのは、アルプス席で応援団責任者を務める硬式野球部・蟹江コーチ[写真=BBM]
[1回戦]中京大中京高(愛知)3-1阿南光高(徳島)
第98回選抜高校野球大会が3月19日、
阪神甲子園球場で開幕した。第2試合で今大会出場32校中最多33回目の出場の中京大中京高が阿南光高に3対1で勝利。通算勝利で並んでいた東邦高(愛知)を抜き、単独最多となるセンバツ59勝目を挙げた。同校は夏通算79勝も全国1位で、春夏通算でも同1位の138勝を数える超名門校である。
春4度、夏7度の全国優勝を誇る野球部のOB・OG会組織である中京野球クラブを束ねるのは山田剛輔会長(45歳)だ。毎年12月末に総会・懇親会が行われており、2024年12月の役員改選で山田新会長が就任した(1期2年)。副会長を8年務めており、母校に尽力する「中京愛」は父から継がれたDNAだ。
「次の世代にうまくバ
トンタッチできるように、仕組みを整えていきたいと思います。システムづくりとは『お金集め』です。OB・OG会とは先輩、後輩と相互の関係を深める親睦団体であると同時に、現役選手を支援することが最大の目的です。後輩たちが円滑に活動できるようにサポートをしたいです。皆さん、母校を思う気持ちは一緒。多大な協力をいただき、ありがたいです」
山田会長は高校2年生だった1997年春のセンバツで、控え捕手として準優勝を経験。現チームを指揮する高橋源一郎監督は1学年先輩の主将にあたり、現場とのパイプは太い。山田会長は時間があれば、学校内のグラウンドに足を運び、コミュニケーションを取っている。なぜ、ここまで力を尽くすのか。
父・光良さんは前身の中京商高OBで、
江藤省三氏(慶大-
巨人-
中日。元慶大監督)と同級生だった。法大でプレーした後は、自身が会社経営する多忙な仕事の合間を縫って、後輩たちをずっと世話してきた。中京だけでなく、法大にも情熱を燃やした。オヤジの背中を見てきた山田会長は、4兄弟の四男。兄3人とも野球をしていたが、四男の山田会長が唯一、中京大中京高へ入学した。大学は父、双子の三男・茂人さんと同じ道を歩み、法大進学。リーグ戦出場はならなかったが、4年時は学生コーチを務め、神宮ではブルペン捕手として、縁の下の力持ちだった。
大学卒業後は民間企業に就職し、現在は長男、次男、三男とともに父が経営していた会社を継いでいる。面倒見の良かった父・光良さんは24年3月に死去。最愛の父にOB会長の雄姿を見せることはできなかったが「恩返し」を、片時も忘れたことはないという。
「今回、OB・OG会の役員人事は若返りを図ったんですが、若い卒業生も参加しやすく、仕事においてもメリットになるような、風通しの良い会にしたいと思っているんです。今の私があるのも、中京があったからこそ。微力ではありますが、高校3年間、育ててもらった母校のために動いていきたい。この春は5年ぶりの出場。この舞台で勝ってくれてうれしいですし、本当に頼もしい後輩ですね」
甲子園に合わせて、中京野球クラブからチーム全員にウェアを贈った。試合中は三塁側アルプスで声援を送り、5年ぶりの勝利を見届け、伝統の校歌に浸った。OB・OG会長として甲子園初勝利。喜びも束の間、センバツ期間中はさらなるバックアップ体制に回る。
取材・文=岡本朋祐