実戦で確かなアピール

鋭いスイングから長打を連発する平山。支配下昇格となるか
野球人生を左右するチャンスをつかめるか。すい星のごとく現れたスターの原石が、
巨人の育成3年目・
平山功太だ。
昨年まで三軍を主戦場とする日々だったが、春季キャンプで入団以来初の二軍スタートに。ここから瞬く間に評価を上げていく。2月11日に行われた紅白戦に二軍から参加すると、6回に
北浦竜次の145キロ直球を中前にはじく痛烈な打球を放った。身長185センチ、体重82キロの恵まれた体格を生かしたパワーに加え、俊足強肩と身体能力が高い。3月7日に行われた春季教育リーグ・オイシックス戦(Gタウン)では初回に左翼の防球ネットを直撃する先頭打者アーチを放つと、2回も左越え弾。その後の打席でも右翼フェンス直撃の三塁打で猛打賞3打点の大暴れ。首脳陣の評価を高めた。
一軍に初合流した15日の
日本ハムとのオープン戦(東京ドーム)で、衝撃のデビューを飾る。「一番・中堅」でスタメン起用されると、3回無死一塁で
有原航平から左中間を破る先制の適時三塁打。4回も有原のスライダーを左中間席に叩き込み、球場がどよめいた。巨人はここまで11試合のオープン戦で12球団唯一本塁打がなかった中で、背番号033の21歳が「今季1号」を放ったインパクトは大きい。猛アピールは続く。17日の
ヤクルト戦(東京ドーム)で、5回に
松本健吾のフォークを左翼席に運ぶ2試合連続弾。支配下昇格が見えてきた。
大学中退から独立リーグへ
広島・瀬戸内高で大型外野手として県内で注目されたが、環太平洋大を1年で中退。一時は野球をやめることを考えたが、独立リーグの千葉スカイセイラーズで再出発した。入団1年目の23年に全40試合出場し、打率.319、4本塁打、27打点、23盗塁をマーク。シーズンMVP、本塁打王、盗塁王のタイトルを獲得し、巨人の入団テストに合格して育成ドラフト7位で入団した。昨年は右肩の故障で出遅れた影響で三軍での出場が
メインとなり、打率.290、5本塁打、26打点。ファームの出場はわずか2試合で無安打と不完全燃焼だった。育成3年目の今年は期する思いが強い。与えられたチャンスをつかみ、野球人生が大きく変わろうとしている。
育成選手から新人王獲得

2009年、育成からはい上がって新人王に輝いた松本
巨人の育成出身野手で、球団史上初めて支配下登録された選手が
松本哲也(現日本ハム一軍野手コーチ)だ。入団3年目の2009年に「二番・中堅」で定位置をつかみ、129試合出場で打率.293、16盗塁と大ブレーク。新人王、育成出身で初のゴールデン・グラブを受賞し、チームの日本一に大きく貢献した。松本は育成枠で入団した際にプロでどのような選手になるのかビジョンを描いていなかったことを、週刊ベースボールのインタビューで明かしている。
「いやあ、描けていなかったです。高校でも大学でも実績を残した選手ではないので、育成選手という契約を抜きに、技術的にも体力的にも一番下のレベルだと思っていましたし、実際に力が上の人ばかり。まずはキャンプで、その時点で持っている自分の力をアピールしなきゃいけないと。それだけでした。パンツの裾をたくし上げて、オールドスタイルにしたのも、それだけでも目立つかな? と思ったから。どういう段階でどの程度のところにいて……みたいな計画は立てられませんよね。どうせ一番ヘタクソなんで、失敗はしても別にいいやと」
プロの厳しい世界で、いかにして存在価値を見出すか。「小技を意識していて、みんなができない役回りをしようと。ヒットじゃなくても粘って球数を投げさせたり、その結果、四球で出塁できたら最高。チームのために何ができるかを考えていました」と強打者がそろう打線の潤滑油になることで、唯一無二の輝きを放った。
平山も今は無我夢中だろう。失敗を恐れず、執念を感じさせるプレーがファンを魅了する。支配下昇格し、一軍のスタメンでチームの勝利に貢献する。サクセスストーリーはまだ道半ばだ。
写真=BBM