オープン戦で示した結果

東海大の1年生左腕・矢吹は開幕投手で見事な働きを見せた[写真=BBM]
【4月5日】
東海大2-1日体大(東海大1勝)
首都大学野球2026春季リーグ第1週2日目。東海大は昨春にリーグ優勝し、全日本大学選手権では4強進出。しかし、秋は5位に沈み、V奪還を目指す今春は開幕カードで日体大と対戦。開幕日の前日が雨天中止のため、この試合が両校にとっての今季初戦となった。
東海大の開幕戦のマウンドを任されたのは新人左腕・
矢吹太寛(1年・東海大札幌高)。東海大の1年生が開幕戦で先発するのは1980年の末木久投手以来46年ぶり5人目。ただ、長谷川国利監督は「奇襲でもなんでもなくて、オープン戦では(3試合で)13回を投げてイニングよりも多い三振を奪い、四球が一つもありませんでした。スピードガンの球速はそこまで出ていなくてもキレがあるし、手元で動く。早い段階で開幕投手に決めていて、本人には2、3日前に告げました」と話す。
矢吹は「あまり緊張するタイプではないので、これまで通りにキャッチャーとバックを信頼して投げました」と振り返る。初回は自己最速タイとなる145キロをマークして3者凡退に抑えると、「後ろに自分よりすごいピッチャーが控えているので初回から思い切り投げられました」と5回まで2安打無失点。
6回裏は一死三塁のピンチを招いたが、昨年末の大学代表合宿にも参加した三番・鈴木斗偉(4年・山梨学院高)を「『良いバッターほど強気になって攻め切らないと』と考えていました」とストレートで押した後にスライダーで空振り三振。その後、二死満塁となったが、代打の田川一心(3年・長崎・海星高)はフルカウントから143キロの高めの真っすぐでこちらも空振り三振に仕留め、得点を与えなかった。
「今日の試合では左打者のインコースを思い切って突けたのが良かった。ピンチの場面も『本塁を踏ませなければいい』と思っていたので、落ち着いて投げられました」
この回で降板となり、白星は付かなかったが、6回3安打無失点。6奪三振の好投。長谷川監督も「前日の雨でスライド登板になりましたし、初登板で強豪の日体大さんを相手に投げられたことは矢吹にとって良い経験になったでしょう」と目を細めた。試合は1点を先行された東海大が9回裏二死走者なしから満塁のチャンスをつくり、中森昂(2年・敦賀気比高)の2点適時打で逆転。2対1で日体大を下している。
メンタル面が成長
矢吹は昨春のセンバツ甲子園に出場し、2試合に登板。そして、「長谷川監督から『一緒にやらないか』と声を掛けていただき、もう一回、タテジマのユニフォームを着たいと思いました」と東海大に進学。この冬は体の使い方を覚えてきた。
「股関節の動きを良くするためにボール型のウォーターバッグを持って腹圧を意識して前後に何度か振り、それから投げる動作につなげるトレーニングをしてきました。そのおかげでリリースの瞬間の腹筋への力の入れ方や呼吸法が分かってきて、ボールの走りが良くなりました」
また、メンタル面も成長した。「これまではマウンドで焦ってしまうことがあったのですが、いつも以上の力を出そうとするから緊張してしまう。だから、普段から練習にしっかりと取り組むことで『いつも通りの実力が発揮できればいい』と思うことで、平常心で投げられるようになりました」
大学での公式戦初登板を終え「初戦は良い形で入れたので、今後も今日より良いピッチングができるように頑張ります。そして、次戦こそは白星を挙げたいです」と矢吹。東海大には「プロへ行くために来ました」とも話しており、4年後を見据えながら、再びタテジマで成長を図る。
取材・文=大平明