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川口和久コラム「日本プロ野球が無観客でも開幕できる方法を教えます?」

 

無観客でスタートした台湾プロ野球/Getty Images


すべてを一気に解決?


 最近、スポーツ新聞が競馬やボートレースばかりになってきた。もし、この2つで、騎手やボートレーサーが新型コロナウイルスに感染し、中止になったら、もう新聞を出せなくなるんじゃないの、と心配になるくらい。

 俺は競馬もボートレースも大好きだから、まあ、いいと言えばいいのだが、この2つが、このご時世で、なぜ大っぴらにできているか、不思議に思っている人もいるかもしれない。

 同じギャンブルでも、パチンコがあれだけたたかれまくって、それでも通う人は、「依存症だ」と批判されているからね(俺は依存症じゃないよ!)。

 もちろん、パチンコと違い、いわゆる「三密」を作らない環境ができているからではある。無観客でもでき、馬券をパソコンやスマホでも買える状況があるが、加えて、公営ギャンブルということも大きいだろう。国や自治体に結構、おカネが入っているしね。

 本音と建前と言えばいいのかな。学校で習う道徳観とは違うかもしれないけど、年齢制限はあるにせよ、自分たちが胴元である限り、ギャンブルは国も推奨している健全娯楽なんだ。

 それじゃなくても、いまの日本は自粛、自粛でまったくおカネが回ってない。このまま行ったら感染終息の前に経済が終わってしまうかもしれないくらいの勢いだ。資本主義というのは結局、いかにおカネを回していくかが大事。今度、配られる10万円も、国の本音としては手元にずっと置かれては困ると思う。どんどん使って回してほしいと思っているはず。「ステイホームで、どんどん競馬、ボートレースをしましょう」とは口が裂けても言えないだろうけどね。

 現状、プロ野球は、無観客で6月後半から7月開催という流れになっているようだが、2つ大きな問題がある。1つは世論が「まだ始めるのは早い」と思わないか、もう1つは無観客で球団経営が成り立つか、だ。

 前者は正直、そのときになってみないと分からないところもある。台湾プロ野球に続き、韓国プロ野球も始まったから、むしろ「日本も早く」と待望論になっているかもしれないが、たぶん、みんながもろ手を上げて大賛成まで待ったら、間違いなく秋になっている。後者も深刻だ。1試合の興行収入1億円が消えると言われる中、続けたら続けるだけ赤字が積み重なっていきかねない。親会社も今回の騒動で、かなりダメージを受けているはずだし、無理に始めたはいいけど、どこかの球団がじり貧になって、シーズン中にギブアップしたら目も当てられないからね。

 テレビ局が地上波放送で支援するという可能性はあるかな。昔の巨人戦みたいに1試合1億円というわけにはいかないだろうが、それなりのおカネは動くし、今の再放送ばかりのテレビの中では、視聴率も期待できる。

 ただ、プロ野球は1日6試合だからね。地上波全局とはいかないだろうから、日本テレビがバックにある巨人戦中心になるだろうし、全試合の中継は難しいだろう。全球団を潤すところまではいかないかもしれない。

 この崖っぷちで、もしかしたらすべてを一気に解決できるかもしれない策を提案しよう。

「野球くじ」の導入だ。

開幕へ向けた大義


 スポーツ界と今回の新型コロナの問題ではJリーグが積極的に社会貢献に動いている。先日、クラブハウスをPCR検査のために貸す、というニュースがあったが、これは夏場以降に開幕がずれこんでも仕方ない、その分、われわれは地域貢献をしっかりします、という意思表示だよね。

 すごいなと思った。ただ、これを書くと怒られるかもしれないが、要は、われわれは政府の政策に全面協力します。苦しくなったら支援をお願いします、ということでもあるよね(意地悪いかな)。

 批判しているわけじゃなく、俺は野球もそうすべきだと思う。もっと頭を柔らかくしてね。もうそのくらい追い詰められた気がする。そして、その意思表示が「野球くじ」だ。すでにサッカーはtotoをやっているしね。

 球界の気持ちは分かる。複雑にして八百長は不可能と言っても、totoがサッカーを賭けに使っているのは間違いない。スポーツを賭けの対象になんてともでもない、とこだわるのもありとは思う。球界には50年前の黒い霧事件の悪夢もあるからね。

 ただ、言い方は悪いかもしれないが、今の野球選手、特に一軍レベルで八百長する根性があるヤツなんていないでしょ。昔は選手の給料も安かったし、少し前の野球賭博事件も一、二軍のボーダーの選手。一軍に定着している人間の年俸がいくらかを考えたら、彼らを仮に買収するのにいくらかかるかも想像つく。相手も割が合わんでしょ。これだけSNSが盛んになると、どこでチクられるかも分からんしね。

 実際、野球くじは日本政府がずっと提案してきたものでもある。以前、東京オリンピックが決まったときも打診があったが、導入はなかった。今回はオリンピックの1年延期が決まっての資金難もあるし、野球くじを導入することで、日本経済への貢献という開幕へ向けた大義もできる。その収益で、球団も救われるかもしれないしね。ペーパレスでやれば、今の時代そこまで時間もかからないんじゃないか。

 totoをやっているからサッカーは青少年にふさわしくないスポーツなんて誰も言わないでしょ。思い切って決断してもいい気はするけどね。

 以上、今回は拡大版でした。

PROFILE
川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。
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広島、巨人で活躍した川口和久氏が独自の視点でプロ野球に斬り込む連載コラム。

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