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2023ドラフト特集

2023スカウト布陣から読む12球団補強ポイント【セ・リーグ編】

 

チームの将来を担う新人選手の発掘。それは優れた素材を見抜くスカウトの手腕に託されている。果たして、どのような人材が地道なスカウティング活動を日々行っているのか。2023年シーズンの12球団スカウト布陣をチェックしながら、補強ポイントを占っていこう。


ヤクルト・逸材発掘へメンバー増員


 昨季限りで現役を引退した吉田大成氏が新たにスカウトに就任し、布陣は1人増の10人体制に変更となった。若手にベテランとバランスの取れたチーム編成でリーグ連覇を達成も、黄金期を長く続けていくために、人員を増員して逸材発掘に力を注いでいく。昨秋のドラフトでも即戦力右腕の吉村貢司郎を1位指名と課題は投手力と明確。しかし、3年後には三冠王・村上宗隆のメジャー・リーグ挑戦が待っているため、次代の主砲候補の獲得も急務となる。

【2023補強ポイント】スムーズな世代交代へ最優先課題は先発投手補強

 昨季チームトップの投球回を記録した小川泰弘は今季33歳になり、同2位の原樹理は30歳、同3位タイの高梨裕稔は32歳を迎える。先発投手陣を支えているのは中堅右腕だ。若手も力を伸ばしつつあるが、先発ローテーションの柱と言えるのは左腕・高橋奎二のみという状況だ。即戦力、将来性を問わず今年も先発投手候補を獲得したい。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
小川淳司
伊東昭光
★橿渕聡=山下輝(法大・投)
中西親志[東海]=竹山日向(享栄高・投)
松田慎司[九州]=村上宗隆(九州学院高・内)
押尾健一[中・四国]=小森航大郎(宇部工高・内)
斉藤宜之[関東・東北]=小川泰弘(創価大・投)
丸山泰嗣[関東・北信越]=長岡秀樹(八千代松陰高・内)
阿部健太[関西]=奥川恭伸(星稜高・投)
(新)吉田大成[関東・北海道・東北]
◎=ゼネラルマネージャー、☆=編成部部長兼編成グループチーフ、★=スカウトグループ次長デスク、◇=スカウトグループ次長、◆=スカウトグループ課長

DeNA・新任スカウトが手腕発揮


 昨年までロッテの打撃コーチを務めた河野亮氏が加入。同スカウトは、2005年から楽天の球団職員やコーチなどを計14年間務めた。なじみの深い東北で腕を振るう。チームで東北出身の現役選手は、蝦名達夫ただ1人。日本を代表する選手が出ている地方だけに、原石発掘の重要性は高い。チームの地盤は即戦力獲得が主だった数年前から、素材型の高校生を指名できるまでに出来上がってきた。底上げと育成の両立を目指し全国に目を光らせる。

【2023補強ポイント】宮崎の後継者探し素材型の育成

 チームでは、四番・牧秀悟が右の強打者として確固たる地位を築いた。その後ろを打つ宮崎敏郎の存在は打線としても非常に大きい。宮崎の打棒はまったく衰えておらずまだまだ打線の中心だが、今年で35歳。ホットコーナーを任せられる後継者探しが必要となる。5年後を見越して、素材型の右の大砲候補を確保しておきたいところだ。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
進藤達哉
河原隆一=牧秀悟(中大・内)
◎八馬幹典=東克樹(立命大・投)
欠端光則[北海道]=濱口遥大(神奈川大・投)
(新)河野亮[東北]
稲嶺茂夫[関東]=森敬斗(桐蔭学園高・内)
中川大志[東海・北陸]=池谷蒼大(ヤマハ・投)
吉見祐治[近畿]=粟飯原龍之介(東京学館高・内)
横山道哉[中国・四国]=今野瑠斗(東京都市大塩尻高・投)
篠原貴行[九州]=浅田将汰(有明高・投)
★=チーム統括本部本部長補佐・スカウト部部長、☆=スカウト部スカウティングディレクター・プロスカウトグループGL、◎=アマスカウトグループGL

阪神・大きな体制変更なしで継続


 今年は岡田彰布監督の復帰に伴い、切望していた右の大砲候補、森下翔太を獲得するなど、現場の意見を取り入れながらドラフトを進めた。それができるのも大きな体制の変化がなかったことが大きい。各担当が、各地に根を下ろして地道に視察を繰り返した賜物だ。ここ数年は高校生の本格派系の投手を獲得しているが、それを今後も継続していく方向だ。大きな動きがないことが、逆にスカウティングの安定につながっている。

【2023補強ポイント】投手陣を中心に長距離砲にも期待

“強いスイングができる”選手が必要と岡田監督は常々語っており、ドラフト1位の森下翔太もそのタイプ。優勝するためには生え抜きでの大砲の育成が不可欠で、補強ポイントとして長距離砲を狙っていくことになる。それと同時に投手陣の強化は常に行っていく。特に高校生の本格派を左右関係なく指名して、投手王国を継続させていく。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
★嶌村聡
□宮脇則昭
畑山俊二=藤浪晋太郎(大阪桐蔭高・投)
熊野輝光[近畿・東海・北信越]=榮枝裕貴(立命大・捕)
山本宣史[中四国・近畿]=森木大智(高知高・投)
平塚克洋[関東・北信越]=大山悠輔(白鴎大・内)
葛西稔[北海道・東北]=馬場皐輔(仙台大・投)
吉野誠[関東・東海・北信越]=森下翔太(中大・外)
筒井和也[近畿・東海・北信越]=湯浅京己(BC/富山・投)
渡辺亮[四国・近畿]=佐藤輝明(近大・内)
前田忠節[九州]=野口恭佑(九産大・外)
★=常務取締役兼球団本部本部長(アマスカウト担当)、□=球団本部次長(編成ディレクター)、◎=球団本部次長(統括スカウト)

巨人・「発掘と育成」のため増強


 内田強氏、脇谷亮太氏の両スカウトが抜け、新たに森中聖雄氏、實松一成氏、桜井俊貴氏が新任スカウトとなった。近年はFA戦線からの大型補強に頼ることなく、「発掘と育成」に舵を切っている。さらに今年はスカウト人員を11人から12人に増やすことで、より多くの目で将来のチームの根幹を担うような選手の発掘、獲得に力を注げる体制を築いた。昨年までコーチであった實松氏、選手であった桜井氏と直近の現場を知る人材の加入も心強い。

【2023補強ポイント】補強のバランス◎戦略は今季の戦い次第

 ここ数年は昨年の大勢をはじめ、山崎伊織堀田賢慎平内龍太などの若手投手陣を獲得。そして昨秋は甲子園のスターである浅野翔吾、即戦力の期待も高い萩尾匡也ら将来が楽しみな野手陣の獲得にも成功した。投打にバランスの良い補強が進んでおり、今年の戦いぶりも加味しながら補強ポイントを明確にしていくことになる。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
水野雄仁[統括]
★榑松伸介[統括]
☆武田康[九州・沖縄]=戸郷翔征(聖心ウルスラ学園高・投)
渡辺政仁[近畿]=増田大輝(四国IL/徳島・内)
柏田貴史[北海道・関東]=高橋優貴(八戸学院大・投)
織田淳哉[関東]=太田龍(JR東日本・投)
(新)森中聖雄[関東・北信越]
木佐貫洋[関東・東海]=直江大輔(松商学園高・投)
(新)實松一成[関東]
円谷英俊[東北]=伊藤優輔(三菱パワー・投)
岸敬祐[近畿・中国・四国]=翁田大勢(関西国際大・投)
(新)桜井俊貴[近畿・中国]
●=スカウト部長、★=スカウト部次長、☆=スカウト部課長、○=スカウト部主任

広島・継続ゆえの連携力


 今年はメンバーだけでなく、担当地区の変更もなし。各スカウトが引き続き、担当地区の注目選手の動向をチェックしていく。それゆえ、選手の成長度合いはもちろんのこと、時間をかけて見てきたからこそ分かる人間性なども、指名候補者を絞り込む上で重要な要素になってくる。長きにわたって数々の名選手を発掘してきた苑田聡彦スカウト統括部長の下、部内の連携はバッチリだ。昨秋も斉藤優汰の一本釣りに成功。狙った逸材は絶対に逃さない!

【2023補強ポイント】高校生中心を早くも明言バランスがポイントに

 1月12日に行われたスカウト会議で早くも今秋のドラフトの方針を打ち出した。「今年は高校生中心でいく。次世代を見ると薄いんじゃないかということで、高校生中心でいい選手を獲って、ところどころで即戦力を獲れるように」と白武佳久スカウト部長。今より未来を意識しつつ、課題にもアプローチ。“いいとこ取り”の指名を目指す。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
★苑田聡彦=會澤翼(水戸短大付高・捕)
☆白武佳久[中国・四国]=中村奨成(広陵高・捕)
近藤芳久[北海道・東北]=斉藤優汰(苫小牧中央高・投)
高山健一[関東・北信越]=玉村昇悟(丹生高・投)
田村恵[全国]=大瀬良大地(九州共立大・投)
松本有史[東海]=菊池涼介(中京学院大・内)
尾形佳紀[関東]=森下暢仁(明大・投)
鞘師智也[近畿]=小園海斗(報徳学園高・内)
末永真史[九州]=島内颯太郎(九州共立大・投)
★=スカウト統括部長、☆=スカウト部長、○=スカウト部課長

中日・布陣は変わらず逸材の確保へ


 今後、一部担当の変更は予定されているものの、基本的に昨年と同じ顔ぶれ。松永幸男スカウト部長、米村明シニアディレクターを中心に全国の逸材たちを変わらずチェック。現場のトップである立浪和義監督との連携も一層強めていく。お膝元でもある東海地区に重点は置くが、それ以上に選手のポテンシャルの高さを重視。技術的な面はもちろんのこと、プロでの伸びしろも大きなチェックポイントとなる。チーム改革のためにもスカウトの役割は重要だ。

【2023補強ポイント】リリーフ陣を補強して盤石の投手王国へ

 昨秋のドラフトでは支配下指名7人のうち4人の即戦力内野手を指名。二遊間強化に重点を置いた。2年前は1位、2位でブライト健太鵜飼航丞と外野手の大卒スラッガーを獲得。となれば今年は投手が中心と予想されるが、立浪監督の意向が大きく反映されることは間違いない。先発よりも即戦力のリリーフ陣が補強ポイントか。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
◎松永幸男
☆米村明=根尾昂(大阪桐蔭高・投)
音重鎮[北信越]
八木智哉[北海道・東北]=村松開人(明大・内)
正津英志[関東]=ブライト健太(上武大・外)
小山良男[関東]=森博人(日体大・投)
清水昭信[東海]=高橋宏斗(中京大中京高・投)
山本将道[関西]=福元悠真(大商大・外)
野本圭[中四国]=三好大倫(JFE西日本・外)
三瀬幸司[九州]=仲地礼亜(沖縄大・投)
◎=スカウト部長、☆=シニアディレクター、○=チーフスカウト

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