放物線を描いて白球がスタンドに消えていく様は、いつ見てもロマンにあふれている。特に打ったのが近い将来の主砲候補とあれば、なおのこと。一軍でプレーするようになって約1カ月。一軍でプレーするようになって約1カ月。プレーはもちろん、飾らないキャラクターでも、ファンの心をつかんでいる。 取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、BBM チームのため、命をかけて
リーグ連覇、5年連続日本一に向け、4位からの巻き返しを誓った後半戦も、チームはなかなか勝ちを積み上げることができずにいた。引き分けを挟んで4連敗中の9月2日、“勝負手”として送り込まれた1人が、リチャードだった。支配下2年目にして初めて一軍に呼ばれた“新入生”に、工藤公康監督が求めたのは「極端に言えば、三振かホームラン」。リチャード自身、荒削りは百も承知だ。自分にできる精いっぱいのプレーが少しずつ結果に表れてくると、スタメンでの起用も増えてきた。 ──一軍の環境には慣れましたか。
リチャード ちょっとずつ慣れてきてはいるんですけど、ここへ来てまた新しいタイプの移動が入ってきて。移動した日に試合をするという、一軍ならでは経験をまた、させてもらいました。
──昇格してからの約1カ月、本当にいろいろなことを経験してきたことと思います。
リチャード ここまで、あっという間でしたね。こんなに1カ月が早いなんて。頑張っている証拠だなと思います。
──育成選手として入団し、3年目の昨年3月に支配下選手に。まずは「一軍昇格」というところを目標にやってきて、ようやく今年9月に声が掛かりました。どんな決意を持って一軍に上がってきましたか。
リチャード とりあえず、自分の持っている力以上のことはできないので、できることをやろうというだけでした。やっぱり僕の売りは長打力。そこしかない。でも、まだまだですね。
──イメージしていた一軍と実際に上がってきての一軍で違いはありましたか。
リチャード ……分からないです。一軍のことを考えてはいたんですけど、「こういうところだろう」みたいな想像はしていなくて。良くも悪くも一軍のイメージは持っていなかったです。
──では、二軍でプレーしていたときの自分と今の自分を比べて、技術面や精神面での変化を感じる部分はありますか。
リチャード 今のほうが、常に集中できているなとは思います。二軍でも集中してやってはいたんですけど、一軍の場合はみんなの“命”がかかっていると思うので。より集中してやっています。
──“命”ですか。チームの雰囲気などから、そう感じる?
リチャード そうですね。みんな必死ですし、そういうチームの雰囲気の中で、自分も背筋が伸びる感じです。
──打席に入るときは、どんな意識を持っているのでしょうか。
リチャード 打席内で迷わないように。ちゃんと考えを一つにまとめてから、打席に入るようにはしています。考えはいつも同じというわけではなくて・・・
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