
劇的な進化を見せる村上の三冠王への期待は高まるばかりだ
入団4年目に格段の進化。いまはまったく別人だよ
男子三日会わざれば刮目して見よ、という諺(ことわざ)があるじゃないか。
日々、鍛錬を続ける人は、3日も経つと見違えるほどに急成長している。
ヤクルトの主砲・
村上宗隆の変貌ぶりが、まさにそうじゃないかと、俺は思うね。
今季プロ5年目。入団して俺が最初に見たときには、インコース高めが打てなくて、しかも悪いことにアウトコースのストライクとボールがまったく見極められなかった。右ピッチャーが投げるアウトコースをボールだと思って、平気で見逃していたんだ。さらにインハイを攻められると、詰まらされるか、空振りさせられるか。そのどちらかだったからね。
入団1、2年目の村上を見ていたら、このバッターは「本当に大丈夫かな」と、大きな不安を覚えたものだよ。外側が見えなくて、ストライクゾーンが見分けられない。インハイとアウトローで攻めれば、簡単に打ち取れる。投げるほうとしては、最も料理しやすい相手だったわけだよ。
さらに左ピッチャーが出てくると、外側のスライダーがまったく打てなかった。左の場合はインコースへ投げなくても、簡単に打ち取れたからね。正直言って俺は、「なんだ、このバッターは、大したものにはならないかもしれないな」と思って見ていたんだ。
ところが、プロ4年目の昨季くらいから、積極的にバットを振るようになったし、両ヒザが柔らかく使えるようになった。下半身が柔らかくなったから、変化球を投げられても、体が前へいかずにタメができる。体がブレないから、ボールがよく見えるようになった。だから、フルスイングして、強烈な打球が打てるようになったんだね。
わずか1、2年の間になぜ、こんなに進化したんだろうと、驚かされるほどだ。打撃の奥義というか、それまでとは違うものをつかまなければ、こんなに本塁打を量産できるようにはならない。下半身の柔らかさと、スイングの速さ。あのスイングなら、バットがボールに当たれば、どこまで飛んでいくか分からないよ。しかも、レフト、センター、ライトと、広角に打てるんだからね。まったく鬼に金棒だよ。
今季の村上は、7月終わりから8月上旬にかけて・・・
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