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2025プロ野球総決算号

<惜別球人 2025 SELECTION>去り行く戦士たち【Part.3】

 

ドラフトからプロの世界へ飛び込むルーキーがいる一方、今季限りで現役生活に別れを告げ、ユニフォームを脱ぐ選手がいる。いつかは訪れる最後の瞬間――その決断を下した主な選手たちを紹介する。
※2025年12月5日までに引退を表明した主な選手になります。
※年齢は2025年満年齢

【Part.1】はこちら
【Part.2】はこちら

ロッテ・美馬学 ケガとの闘いだった投手生活


美馬学[ロッテ/投手/39歳]


「全力でやってダメだったから仕方ない」

 9月30日の楽天戦(ZOZOマリン)での引退登板から時間が過ぎても、あの日の光景は胸に残り続けている。浅村栄斗へ全力で投げ込んだ3球目、右肘の腱が切れた。それでも球を離すまで表情一つ変えず、気力だけで投げ切った姿こそ、美馬学という投手の本質だ。アマチュア時代からケガに悩まされ、骨折、靱帯断裂を繰り返しても「野球を続けたい」という思いが勝ち続けた。

 藤代高、中大、東京ガスと肘の痛みと闘いながらも将来のプロ入りを目指し、2010年秋のドラフト2位で楽天から指名。

「まさかそんな順位だとは思わなくて、『やった!』という気持ちでした」

 プロでは中継ぎから先発に転向し、投球の幅を広げた右腕は13年の日本シリーズ第7戦で先発を任される。「正直、『マジか』と思った」と苦笑するが、巨人打線を6回無失点に封じてMVPを獲得。星野仙一監督からマウンド上で「ありがとう」と手を握られた瞬間は、今でも宝物のようだと語る。

 20年にはFAでロッテへ移籍した。背景には家族の事情もあった。「子どもに障害があって、妻の家族のサポートが必要だった。関東に戻る決め手になりました」。移籍1年目に10勝4敗と結果を残し、自由なチームの雰囲気や、熱量の高いファンの応援を心から気に入った。

 しかし、ここ3年は膝と肘の痛みに苦しみ、25年のシーズン中、球団に呼ばれて現役続行は難しいと知らされた。「ここまで全力でやってダメだったから仕方ない。正直ホッとした部分もある」と静かに決断した。

 来季からはロッテの二軍投手コーチとして新たな道を歩む。「たくさん『戦える人』を送り出したい。技術も気持ちもサポートできる存在になりたい」と語る姿には、野球と真摯に向き合い続けた男らしい誠実さがある。ケガに苦しみながらも節目ごとに這い上がってきた右腕は、現役としての道を終えてなお・・・

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