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柳町達コラム

柳町達コラム 第10回 9月 精神面での成長「置かれた状況を考える余裕が、今季は増えました」

 

 このコラムは、ソフトバンク柳町達選手が月ごとに振り返る形で、自身の技術面、精神面それぞれにおいて“どんな変化=成長があったのか”を、具体的にポイントになった試合も挙げながら書いていく、『2023年シーズンの軌跡』です。試合に臨む中で、どういう意識、どういう考えを持ってやっているのか。「そのとき、そのときの自分の頭の中、胸の内を、いいことも悪いことも書いていけたらなと思っています」(柳町)。

前の打席で田中将大投手からヒットを打っていましたし、追い込まれてからも冷静でいられました


 クライマックスシリーズ(CS)はロッテとのファーストステージで敗退を喫し、2023年シーズンが終了しました。秋季練習も終わって11月2日からは宮崎で秋季キャンプも始まりますし、今はもう来年に向けてというところにはなっているのですが、このコラムではもう少しだけ今季について振り返らせてください。

 前回に引き続き、9月の話です。シーズンもだんだんと終わりに近づく中、中旬にはチーム内に体調不良による離脱者が多く出て、そのときはなかなか厳しい戦いを強いられました。ですが、何とか乗り越えて最終局面を迎えることができた。あの時期は僕が、というよりは、チーム全体として精神的にも苦しかったんですけど、頑張ったかなと思いますね。

 チームは優勝争いからは後退し、今度はCS進出をかけた争いに。僕自身は昨季終盤、優勝争いを経験していたこともあってか、今季の状況にもうまく気持ちの整理をしながら試合に臨めていたかなと思います。昨季ほど緊張というか、「どうしよう……」みたいな感じもなく。なんて言うんですかね、少し心に余裕を持つことができていたように思います。

 昨季は僕自身、初めての優勝争いということもあって、終盤戦の緊張がすごかったんです。最後の最後までもつれましたしね。でも、その経験を今季は生かすことができたのかなと思います。

 9月20日にオリックスが3年連続となるリーグ優勝。僕たちも優勝したくてシーズンをスタートしましたから、ライバルチームの優勝を見て、やっぱり悔しいという気持ちが一番。それに加えて、僕個人として感じていたのは、昨季あれだけ接戦だったのに今季は大差が開いてしまったので(※優勝決定日時点でオリックスとは16.5ゲーム差の3位)、そこに対するもどかしさというのがすごくありました。

大事な場面で冷静に


 実際、チームとしても、僕自身としても、CSを意識しての試合というのは、10月に入ってから。9月の時点ではロッテ、楽天との直接対決にしても、だからどうということはなくて、もう1試合1試合、目の前の試合をしっかり戦っていくだけでした。

 その中で1試合選ぶとしたら……9月9日の楽天戦(PayPayドーム)ですかね。僕が田中将大投手から7回に決勝タイムリーを打った試合です。

 この試合、この打席に限った話ではないのですが、シーズンを通じて試合に出る中で、それこそ試合を決めるような大事な場面、「ここで1本!」というような場面で、冷静でいられる。今季はそういう打席が多かったなと思うシーズンでした。そこは、この1年で成長した部分かなと思いますね。

 9日の試合は、2点をリードされて迎えた7回に先頭の柳田(柳田悠岐)さんから連続ヒットとフォアボールで無死満塁に。ここで今宮(今宮健太)さんがレフトへのタイムリーツーベースを打って同点となったところで、僕に打席が回ってきました。まさに、先ほどお話しした「ここで1本!」という場面です。

 とにかくランナーをかえすことだけに、集中しました。3球で追い込まれたのですが、それでも冷静に、しっかりボールを見極めて。6球目の高めの真っすぐをとらえることができました。

 やっぱり、田中投手のような球界を代表するピッチャーとの対戦というのは、いつも以上に気合が入るというところもあったりします。とはいえ、まずは対策をして、しっかり打つということがメインになってきます。気合が入りつつも冷静に、という感じですかね。

 9日の試合では、7回の3打席目の前に、5回の2打席目にも田中投手からヒットを打っていて。そのときもストレート(145キロ)をとらえてのライト前へのヒット(※初球)。なので、3打席目も引き続き、いいイメージで打席に入れたのは確かです。

 同じピッチャーと対戦する中でチャンスの場面を迎えた場合、そこまでの対戦を振り返って、というところは考えます。ヒットを打っていたらいいイメージで行けますし、あとは配球とか、「この場面ではどういう攻め方をしてくるかな」と考えたりもします。ですが、大事なのは、そこにプラス、置かれた状況を考える余裕。その余裕が、今季は増えましたね。

 だからこそ、3球で追い込まれても慌てることはなかったんです。4球目、5球目と低めのボールには手を出さず。フルカウントまで持っていくことができたのも大きかったかなと思います。

【Point】
9月9日/楽天戦(PayPayドーム)/第3打席/7回無死二、三塁


PROFILE
やなぎまち・たつる●1997年4月20日生まれ。茨城県出身。180cm79kg。右投左打。慶應義塾高-慶大-ソフトバンク20[5]=4年目。2023年打撃成績/116試合、80安打、0本塁打、34打点、2盗塁、打率.257。
柳町達の成長“月誌” 4年目の到達点

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着実に歩むレギュラーへの道。その過程で生まれるさまざまな“思い”をソフトバンク・柳町達がリアルに語る!

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