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長嶋がいて、松井がいた 2

小俣進[元長嶋監督専属広報]が感じた至近距離からの愛情

 

長嶋茂雄巨人監督に復帰した1993年、専属広報となった小俣進
同年、巨人のユニフォームを着た松井秀喜と長嶋監督の姿を至近距離から見詰めてきた一人である。
2人の濃密な時間は果たして――。
今だからこそ表に出せる話を披露してもらった。
写真=BBM、AP

スイング音でかわされた会話

 1993年に入団した直後から、長嶋監督は松井の打者としての素質にかなりほれ込んでいたと思います。それが1000日計画という壮大なプランになり、巨人の四番、イコール球界を代表するスラッガーに育てなくてはいけない、という使命感に燃えていました。

 松井が、鳴り物入りのルーキーとして騒がれていた1年目や、まだ四番を打つ前の2年目は、グラウンドなど人の目につくところで、マンツーマンで教えていましたが、3年目あたりからは人前での指導は少なくなったと思います。

 遠征先だと試合前や、試合後にホテルの部屋でバットを振らせていました。それでも足りないと感じたときは、長嶋監督が先に帰京して銀座付近のホテルを予約。バットスイングをするわけだから、ダブルやツインの部屋というわけにはいかない。スイートの部屋を取って、松井が来るまで私と一緒に待っていました。

 松井が部屋に入ってきても、特別なあいさつは何もないんです。

「さあ、やるか」

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