ピッチャーに永遠に付きまとう課題「投球フォーム」。果たして、プロが考える「理想の投球フォーム」とは？今回は体に無理な負荷が掛かっていない、それでいてボールにうまく力を伝えられている投球フォームを「理想」とし、セ・パの現役投手、コーチにアンケートを行った。アンケートにお答えいただいた選手、コーチのコメントとともに、トップ3に選出された選手の投球フォームのワンポイント解説もお届けしよう。

杉内投手のピッチングメモ

　マウンドで一番大切にしていることはリズム。気持ち良く、良いリズムで投げることが大切だと思います。フォームについて“ゆったり”という意識はしていませんが、「脱力」を心掛けてフォームを作ってきました。究極を言えば、キャッチボールの感覚。足を上げたときにグラブの中で一度手を叩くようにボールを出すのも、キャッチボール感覚で力を抜くためです。

　特に上半身には投球動作の途中で力を入れず、リリースの瞬間にすべての力を解放してやるのが理想。ゼロから、リリースの瞬間に一気に10に持っていきたいんですが、なかなかそういうわけにはいきません。なので、現実的にはセットに入ったときがゼロで、足を上げ始めて1、2、3……という具合に徐々に力を入れていき、リリースで10を迎えているイメージ。試行錯誤した結果、いまの“ゆったり”見える形が一番しっくりきたんです。

投票者コメント

山口鉄也[巨人]「ゆったりとしたフォームから、最後だけ力を入れて投げる。すごくキレのある球で、球速表示以上に見えていると思います」
福田聡志[巨人]「たとえ球種が分かっていても打者が打てない。腕の振りがすべての球種で同じで、変化球でも緩んだりしない。すごいです」
榎田大樹[阪神]「軸足にどっしりと根が生えているイメージ。下半身が安定しているので、軽く投げているように見えても、ボールのキレがすごいんでしょうね」
島崎毅投手コーチ[日本ハム]「リリースのときにボールをしっかりとたたけるような感じとか、打者として非常に見えづらそう。間の取り方も素晴らしい」
岸孝之[西武]「余分な力が入っていない。好きな投げ方ですね。すべてにおいて理想的な投球フォームだと思います」
久古健太郎[ヤクルト]「フォーム自体もきれいだし、下半身が使えているから球速以上にキレがあるんだと思います」
大原慎司[DeNA]「ムダがない投球フォームで、ゆったりしながら最後のリリースの瞬間だけに力を入れている。試合中にあれだけ力みがなく投げられるのはすごい」
五十嵐亮太[ソフトバンク]「マエケンと迷うけど、杉内君かな。自分とは違って、リリースまでにまったく力感がない。リリースのタイミングも完璧」
成瀬善久[ロッテ]「動きに力感がなくて、最後の瞬間に力を入れる理想のフォーム。力強さも感じますし、直球は球速以上に速く感じるので空振りが取れるのでしょうね」
八木亮祐[ヤクルト]「あれだけ力感がなくて、リリースのときだけに力が入っているように見える。『YouTube』で何度も映像を見ています」
増井浩俊[日本ハム]「テークバックはリラックスしていて、リリースのときにしっかり力を入れているので、打者もタイミングを取りづらいと思う」
川崎憲次郎ブルペンコーチ[ロッテ]「しなやかなフォームで、かつ球が速い。リリースの瞬間にだけ力が入っているけど、そこまで持っていく動きも安定しているね」