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落合竜の懐刀・森繁和が語る

07年日本一までの道程

 

2004〜11年まで続いた中日・落合政権は、8年間で1度もBクラスがなく、リーグ優勝4回、日本一1回のチームの黄金期。この中からシーズン2位から日本一にたどり着いた07年の日本シリーズに焦点を当てる。シーズンを戦い抜くことに重きを置いた落合監督が短期決戦をモノにした要因の一つに、選手が自ら動く積極性があった──。懐刀・森繁和の視点


ミーティング通りの結果を出したことで、
選手も『これでいける』という流れをつくった」


足にスランプはない
投打の好不調を超越し、シリーズの流れを掌握


 当時、落合博満監督による「走るな」というサインはあった。ただこれは、足の速い選手に対していつでも「グリーンライト」という意味ではない。日本ハムダルビッシュ有に敗れ、0勝1敗で迎えた敵地での第2戦。初回、いきなり先頭の荒木雅博が日本ハム・グリンの初球を中前に運んだ。仮にノーサインで盗塁を試みてアウト、となれば、その後の流れが相手に傾くのは自明の理だ。出塁。その瞬間、「行ってもいいぞ」というサインが出たのは間違いない。

 このときは続く井端弘和の初球、荒木は見事に二盗を決めた。相手先発は来日1年目のグリン。交流戦では防御率1.01で交流戦最優秀選手に選ばれた。それだけセ・リーグの各チームは苦しめられたわけだが、もちろんデータは残る。その日本ハムとの日本シリーズとなれば、研究をしないわけがない。

「行ってもいいぞ」。グリンは一塁へのけん制を1球投げたものの、荒木は直後の初球の際に盗塁に成功。実は投手というものは、緊張している場面などに初球を前にけん制球を投げないことが意外と多い。打者に1球投げてしまった後に気付く。チャンスはまさにそこにある。二盗後、井端の右前打で一、三塁。森野将彦の犠飛で荒木は先制のホームを踏む。初戦の悪い流れを断ち切り、結果的に一気の4連勝につながった・・・

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