週刊ベースボールONLINE

 

高校球児にとって春のセンバツは夢の扉への第1歩と言える。今大会での「アピール」が確実に秋へとつながるからだ。甲子園を通じて「候補選手」の上位クラスにリストアップされた、有力9人を紹介していこう。


▲センバツは万全の状態ではない中でチームをベスト4に押し上げる投球を見せた田嶋。プロのスカウトに潜在能力の高さを見せつけた


取材・文=岡本朋祐 写真=石井愛子

全国4強で見せた潜在能力の一端

 優勝した龍谷大平安に大敗(1対8)。頂点まであと2つ、準決勝で敗退した田嶋大樹は、囲まれた5台以上のテレビカメラ前でこう言った。「悔しい気持ち半面、やり切って良い経験ができたのが半面、あります」

 ウソ偽りのない本音だ。松本弘司監督によれば、今大会は万全のコンディションから比較すれば「6割」にも満たない状態であったという。「今年は寒い冬でした。しかもケガ明けから、短い時間でピッチングを作ってきた中ではよく投げてくれた」

 昨年10月の関東大会準決勝(対桐生第一高)で、一塁へ駆け込んだ際に左足首を負傷。「センバツ」のために続投した代償は大きく、冬場は一切、下半身を動かせなかった。当初は2月から全体メニューに合流する予定だったが復帰は大幅に遅れる。2月中旬には紅白戦が行われていたが、田嶋はベンチで戦況を見つめていた。周囲には弱みを見せない田嶋も、寮で同部屋の右翼手・小泉奎太だけには「かなりストレスを溜めていた」と、苦悩を語っていた。

 結局、半ばぶっつけ本番となった。シート打撃、紅白戦も登板しないまま3月8日の対外試合解禁を迎え、センバツへ向け、急ピッチで仕上げた。鎮西(熊本)との1回戦では5安打完封し、自己最速タイの145キロをマーク。控えの左腕でもある小泉副主将は「調整とかもいらない投手なんですね。ポーカーフェースですし、ブレない」と、最も身近なチームメートでさえも驚きの声を上げた・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング