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現在、広島は若手の成長もあり勢いに乗っているが、80年代以降に新たな戦力が台頭してチームを優勝に導いた事例を紹介する。
80年代の西武を築いた清原和博らの黄金期メンバー、オリックスに日本一をもたらしたイチロー巨人の新たなシンボルとなった松井秀喜ら、球界のスターと、彼らの力によってもたらされた栄冠に迫る。彼らは個人タイトルではなく、チームを優勝に導くことによって、一気にスターダムに上りつめた

写真=BBM

1986年 西武[68勝49敗13分(勝率.581)]
「新人類」の活躍で黄金時代へ

 高卒で入団したルーキー・清原和博は、開幕2試合目にデビュー。1打席目は四球も2打席目には初安打初本塁打を放った。翌日も2安打を放つが、その後は10試合無安打と低迷。そこからプロのレベルに慣れるまで苦戦するが、夏場を過ぎると本来の力を発揮してチームを勢いに乗せ、残り1試合で近鉄を振り切り、2年連続のリーグ優勝を勝ち取った。

 清原以外にも3年目で21歳の渡辺久信が最多勝(16)、最多奪三振(178)でブレーク。5年目で23歳の工藤公康が初の2ケタ勝利。この年の流行語大賞となった「新人類」の代表格のように言われ、3人で表彰式にも出席した。野手では秋山幸二が前年に続くフル出場で41本塁打を放ち、伊東勤も中心選手として活躍。広島との日本シリーズでは、第8戦までもつれる大熱戦を制し、前年の85年から10年間で9度リーグ優勝の原動力となる若手が一気に台頭した年でもあった。

最重要若手選手・当時のコメント
清原和博(1年目/19歳)126試合 打率.304 31本塁打78打点



「こんなに打てて、自分でもビックリしています。これも森監督に辛抱して使ってもらい、先輩に励まされてきたからです。いいチームに入って、本当に良かったと思います。

 ただ、4月、5月は苦しかったです。野球が楽しくなかったです。このまま打っても成績は出ないんかな、打ち方が間違っているのかなと悩みました。苦手な投手はいましたけど、名前はちょっと言えません。そこから良くなった要因は慣れですね。経験する場を与えてもらったのが一番大きいです。試合前や、一塁ベースに来たときに、落合(博満=ロッテ)さんがアドバイスしてくれたことが効きました。『低めのボールをすくって上にあげるのはダメ。むしろ、上からひっぱたく感じがいい。そうするとボールが勝手に上がっていく』というんです。練習で試してみると、なるほどとなりました。

 高校時代は毎日提出する日誌があり、プロに入ってからもピッチャーの攻め方を中心にメモを取ってました。後半戦に入って、それがすごく役立ちました。

 日本シリーズは普段と変わらないムードでした。3連敗のあとに選手だけでミーティングして、パ・リーグの意地を見せようじゃないかという話をしました。3連敗中は沸く感じが少なかったんですけど、工藤さんのサヨナラヒットのときはすごくいいムードになりましたね」

その他の活躍した若手
秋山幸二(6年目/24歳)130試合 打率.268 41本塁打 115点
伊東勤(5年目/24歳)129試合 打率.234 11本塁打 40打点
渡辺久信(3年目/21歳)39試合 16勝6敗1セーブ 防御率2.87
工藤公康(5年目/23歳)22試合 11勝5敗 防御率3.22
1995年オリックス[82勝47敗1分(勝率.636)]
イチローを中心に「がんばろうKOBE」

 1995年1月17日の早朝に阪神・淡路大震災が起こり、神戸を本拠地にするチームはユニフォームの右袖に「がんばろうKOBE」を縫い付けて、ペナントレースに臨んだ。

 前年、高卒3年目のイチローが仰木彬監督の下で史上初の200安打を放つなど大ブレークを果たし、この年も中心として大活躍。敬遠(17)、死球(18)がリーグ最多を記録するなど、厳しいマークにもかかわらず、首位打者、最多安打のタイトルに、史上初となる打点王、盗塁王を同時に獲得した。

 高卒2年目の平井正史の覚醒も欠かせない。絶対的な守護神として君臨し、当時パ記録の42SPをマーク。鈴木平野村貴仁から平井につなぐ勝利パターンが確立できたことで、先発陣の負担も大きく軽減された。40歳の佐藤義則がノーヒットノーラン、野田浩司は1試合19奪三振と、大記録も生まれ、チームに勢いをもたらした。6月の連勝で首位に立つと、その後は一度もその座を譲ることなく、優勝。

 日本シリーズではヤクルトの徹底マークでイチローが沈黙し、1勝4敗で沈む。しかし、翌年にリーグ連覇を達成して、念願の日本一に輝いた。

最重要若手選手・当時のコメント
イチロー(4年目/22歳)130試合 打率.342 25本塁打 80打点



「夏場に打ったビタミンの注射器を・・・

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