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左ヒザの故障により、開幕一軍こそ逃したが、5月2日に出場選手登録されると、中継ぎで地位を高めている。そのルーキー右腕が今キャンプで新たに挑戦したのがパームボール。ピッチングに奥行きを与える球種に迫る。
取材・構成=菊池仁志 写真=湯浅芳昭、BBM

 パームボールを投げてみてはどうか」と加藤(伸一)ピッチングコーチからアドバイスされたのは今年のキャンプでした。加藤コーチも現役時代に使っていた球種らしく、話を聞いてやっていくうちに、「全然、使えるやないか」と。僕としても早い段階で使えるという手応えを感じました。今は、試合で投げる割合は低いですけど、ゆくゆくは決め球として使えるようにしたいです。今はそこまで精度が高くないので、どんどん投げて自分の球種にしていきたいと思っています。変化球すべてに言えることですが、投げるときに気をつけるのは腕を振って投げること。パームボールはそれがうまくはまる球種だと感じています。初めて投げたときから違和感もなく投げられたので、僕のフォームとの相性も良かったんでしょうね。

▲変化球は「とにかく腕を振る」と森。フォームの力感とスピードのギャップでタイミングを外す球種なだけに、よりその意識が大切だ



 試合ではストレート、カットボール、スライダー、フォーク、カーブ、パームボールを使いますが、パームボールとカーブは緩急をつけるためにも役立つボールです。その中でカーブはリリースで1回上に出てから弧を描くようにキャッチャー方向に進みます。一方でパームボールはストレートと同じ軌道でリリースするように気をつけています。そこから落ちるから打者をだませるのであって、カーブのように1度上がったら見極めも簡単です。加藤コーチからもそのようにアドバイスを受けました。

 繰り返しますが、パームボールは腕を振るから意味がある球です。遅いボールだからとフォームが緩んでしまうと、打者もタイミングが合わせやすくなります。タイミングが合うと、変化にキレがないボールなだけに危険な球になってしまいます。僕の場合、投げるときは「ストレートよりも腕を振ろう」と心掛けています。だからバッターもだまされてくれるんです。

 握りは縫い目にかけるか、縫い目を外すかでわかれる部分だと思います。僕の場合は縫い目を外しますが、話を聞いた帆足(和幸)さんは縫い目にかけるとおっしゃっていました。僕も縫い目にかけてやってみたことがあるんですけど、変に引っかかってしまうので、その点は投げてみての感覚で判断すればいいのではないでしょうか。

 現在、最も頼りになる球種はストレートとカットボールです。カットボールは社会人時代の先輩に投げているピッチャーがいて、その方に教わってすぐ投げられるようになりました。中学時代に初めてカーブを投げるようになってから、これまで挑戦してきたボールはある程度は自分の球種として扱えるようになっています。パームボールも決め球にまで高められるように、取り組んでいきたいです。

マスターからのアドバイス
1.ストレート以上に腕を振って投げる
2.ストレートと同じ軌道から落とす

[Front]

▲縫い目にはかけずに、親指、薬指、小指の腹で包み込むようにボールを握る。中指は自然と曲がっている



[R-SIDE]


[L-SIDE]


その他の球種の握りをCHECK!!

▲カーブ


▲スライダー


▲カットボール


▲フォーク



PROFILE
もり・ゆいと●1992年1月8日生まれ。徳島県出身。右投右打。175cm・77kg。海部高から三菱自動車倉敷オーシャンズを経て、14年ドラフト2位でソフトバンクに入団。キャンプ、オープン戦で評価を高めたが、左ヒザの故障もあり、開幕一軍はならず。しかし、5月2日に昇格すると、中継ぎとして存在感を放っている。今季成績は12試合登板0勝0敗3H0S、防御率0.54(6月8日現在)。
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