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強豪校伝説・「名門校」強さの秘密

PL学園・野球未経験の校長が指揮をとる異常事態

 

ベンチで戦況を見守るPL学園高、お馴染みの風景。最終判断を下す指揮官不在の夏、部員たちの自覚がさらに求められることとなる


甲子園で春夏計7度の優勝を誇るPL学園が、大変な事態となっている。昨夏は不祥事で出場辞退。再出発した同秋以降も新監督が決まらず、正井一真校長が“代行”してきた。あくまで「一時的な措置」とされてきたが、今春も状況は何も変わらなかった。新チーム結成以降、秋は2位、春は4位。もちろん今夏も、5年ぶり代表の有力候補だ。1970年代半ばから黄金期を築いてきた名門校はこの逆境をクリアできるのだろうか。
取材・文=谷上史朗、写真=早浪章弘

ベンチワークに不安 野球未経験の校長が指揮


「PL学園夏も校長指揮 新監督就任至らず」

 6月17日付の日刊スポーツ(大阪版)にこう見出しをつけた記事が出た。夏の大阪大会の監督変更がある場合、届け出を同16日に開催された理事会までに終えておかなければならなかったが、申し出はなし。結果、春までと変わらず、正井一真校長を「監督」とした現体制で夏を戦うことが決まったのだ。春20回、夏17回の甲子園出場で優勝7回。特に1970年代半ばからの10年余りはまさに黄金期を誇ったPL学園高野球部が創部以来、最大のピンチに立っている。

 昨秋も大阪2位で近畿大会に出場し、あと一歩で甲子園の戦いを演じた。今春も3位決定戦で敗退も大阪ベスト4。近年の大阪は大阪桐蔭高、履正社高が2強を形成し、今夏もその様相が続くが、次グループの筆頭につけていることは間違いない。ただ、選手に一定の力はあるが、ベンチの不安が消えない。

 監督の正井校長は野球経験がなく、普段の練習では1987年春夏連覇時の主軸、深瀬猛と若手の千葉智哉のコーチ2人が指導を行うも、試合の中で決断を下せる大人が不在。戦いが上位になればなるほど、その穴が大きなものとして浮き上がってくる。1つ勝てば甲子園が見えた昨秋の近畿大会は福知山成美高(京都)に1対2の惜敗。ベンチワーク次第で結果が変わったかも……と思い浮かべたくなる展開だった。

 今春の準決勝、大阪桐蔭高戦では初回に一挙7失点。これでゲームは決まったが、その間、ベンチから伝令が出ることはなかった・・・

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