来日3年目。開幕6戦目から四番を任されると、本塁打、打点を量産し、リーグトップを独走している。覚醒したエルドレッドは、赤ヘル打線の中心にドカリと座り、チームの攻撃面を牽引している。今後の首位争いに欠かせぬ助っ人に3年目の自身の変化、優勝への思いを聞いた。 構成=菊池仁志 写真=毛受亮介 通訳=西村公良(広島東洋カープ) 期待され、求められる喜び
──今季、日本で3年目のシーズンを送っていますが、打撃成績の向上が著しいですね。
エルドレッド(以下、エルド) 去年はシーズンがスタートした直後にケガで離脱してしまったんだ(4月20日、
巨人戦=マツダ広島、菅野から死球を受け、右第5中手骨骨折)。それからケガが完治しない状態のまま復帰して、自分のパフォーマンスが取り戻せないままのシーズンになってしまった。
でも、去年から大きく変えたということはないよ。ただ、どんな球でも振り過ぎていたことを反省したんだ。あまりにも積極的に打ちにいき過ぎていたので、ボールをしっかり見極めるということを今は意識しているよ。それがうまくいっている一番の理由かな。
──ここまで3試合連続無安打が最長で、調子の波も過去2年と比べて小さくなっている感じがします。
エルド 今季はここまで体調面のコントロールがしっかりできているんだ。昨オフには今季に向けた体作りで例年以上のものができたしね。春のキャンプにまったく不安がない状態で入れたし、そこもケガなく乗り越えることができた。順調にシーズンに入れたことはとても良かったと思うよ。
──シーズンに入って、手首の痛みや指の痛みなど、不調が報じられることもありますが、7月27日時点で欠場したのは2試合のみです。
エルド 毎日が100%のコンディションであることは難しいけど、我慢してプレーすることはプロである以上、重要なこと。できるのであれば毎試合出場して、チームのために活躍したいと思っているよ。痛みがあってもそれが我慢できるものでプレーに支障がないのであれば、ボクは必ず試合に出る。ボクが望むのは自分が試合に出てチームの勝利に貢献すること。だからとにかく試合には出たいし、そこで活躍できれば最高だからね。
──今季は開幕6試合目から四番を任されています。
エルド ボクのようなタイプの選手はクリーンアップを任されて当然で、そこでどんな結果を残すかが重要だと思っている。今季はずっと四番を打たせてもらっているけれども、監督がそこに据えてくれていることはもちろん、誇らしいことでうれしいこと。それだけボクを監督は信頼して使ってくれている証しだろうからね。その監督の思いに応えられるように、しっかりとプレーし続けているつもりだよ。
四番に座る今季は、豪快な一打でチームを勝利に導いている
──
野村謙二郎監督からアドバイスを受ける場面を多く見かけます。
エルド 3年間で監督もボクの打者としてのスタイル、スイング、性格を把握してくれていると感じるんだ。状態が悪くなるときには必ず何かの理由があるんだけど、そういう兆しが見えたときには監督がすぐに声を掛けてくれる。
「こうなっているよ」「こういうふうにしたらどうだ」って、本当に細かいアドバイスをしてくれるんだ。選手としてやっていると、時に自分で気づかないうちに悪い方に向かってしまうことがあるんだけど、それを正してくれるのが監督の声であって、それは本当にありがたいことだね。
──そのように、常に見てもらえているという喜びもあるのでは?
エルド 選手と監督、コーチが密にコミュニケーションを取っていることはとても大事なことだと感じているよ。お互いが何を思って、何を感じているか、それを率直に理解できる環境が整っているので、すごくプレーもしやすいんだ。
経験の積み重ねが打撃上昇の理由
──日本野球への適応という観点で、重要なことを教えてください。
エルド 最も大きな点を挙げると、3年目になって相手ピッチャーの顔、特徴が自分の頭の中に入っているということだね。昨年までは1度も対戦したことがないピッチャーがたくさんいて、特に1年目は初対戦のピッチャーばかりだったから、彼らがどういう球筋のボールを投げてくるのかをまったく分かっていなかった・・・
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