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日本球界初、そしてあのベーブ・ルース(レッドソックス)が1918年に達成して以来、96年ぶりの2ケタ勝利&2ケタ本塁打を達成した大谷。その秘密に迫る。
写真=BBM

ベーブ・ルース以来の快挙達成


 今季、投手として11勝、打者として10本塁打を記録した秘密は開幕前の準備期間にある。体の成長が止まり、高校時代に苦しめられた故障が再発する心配がなくなり、肉体強化に取り組むことができたのだ。

 首脳陣は、打者としての能力は十分あると判断し、2年目の今季は投手としてのレベルを高めることに重点を置いた。2月のキャンプでは、フォーム固めに取り組み、パワーアップした体を最大限に生かせるように投げ込んだ。オフの間にも自主的に取り組んだ打撃は、余力があるとき、感覚を失わないために行った。

 開幕後は足をつるアクシデントもあり、調子が上がらない中でも少しずつ勝利を積み上げ、徐々に新たな肉体をうまく使いこなす術を覚えていく。5月13日にプロ初完封(126球)で1試合を投げ切る自信が芽生えた。また、5月4日のオリックス戦(札幌ドーム)から7月16日の西武戦(旭川)にかけて、11試合で7勝0敗と、結果もついてくる。

 初完封の西武戦でマークした最速158キロの速球は徐々にスピードアップ。7月のオールスターで162キロを記録し、公式戦では10月5日の楽天戦(札幌ドーム)でプロ野球最速となる162キロを再び記録。

 リーグトップの投手陣と比べてもそん色ない数字を残した。防御率2・61は金子千尋(オリックス)、岸孝之(西武)に次ぐ3位で、勝率も上記2人に次ぐ3位の・733で、奪三振数でも則本昂大(楽天)、金子に次ぐ3位の179。投球回で劣る中、これだけの数字を残したのは特筆すべきものがある。

 投手中心のプランの中でも、1年目を10上回る87試合に出場。首脳陣、トレーナーが組んだプランに則り、故障が起きないように最大限の注意を払っての出場試合数だった。自分で試合出場を決断できないため、その点にフラストレーションは感じているはず。来季は、この数字をどこまで増やせるか。また、自身が究極の目標に掲げる、二刀流での全試合出場にどこまで迫れるのか。3年目はさらなる前進が期待される。

はみ出し捜査メモ
「ピンチ」と「チャンス」で抜群の勝負強さを発揮した2年目の二刀流

 大谷翔平の成長をさらに感じさせるデータがある。それは「ピンチ」と「チャンス」に強かったことだ。ピッチャーとしてはランナーなしでの被打率は.236に対して、得点圏では.168と封じ込めた。一方のバッターのほうでも、ランナーなしでの状況では打率.267に対して、得点圏では.351にまで数字ははね上がる。勝負どころでのギアチェンジ、研ぎ澄まされた集中力も高卒2年目ですでに身につけていた大谷であった。

4月12日、花巻東高の先輩でもある西武の菊池雄星と投げ合い、5回2/3を1失点に抑え、今季初勝利。



4月20日、7回に2失点で降板も、2勝目を挙げる。



4月23日、三番・DHで出場、初回に左中間へ運んだ。



5月4日、プロ初黒星から中6日の登板で7回途中まで4失点で3勝目。



5月13日、函館で西武を6安打に抑え、プロ初完投を完封で飾った。



5月31日、48打席ぶりの2号同点ソロは阪神の左腕・能見から。




七番・投手で広島前田健太に投げ勝つ。だが、5回の本塁クロスプレーで足首をひねり、降板。



6月18日、初の甲子園で8回を1安打に抑え、11奪三振で、6勝目。



6月25日、3回に金城の打球を手首に受けたが、7回2失点で7勝目を挙げた。



6月29日、6回に特大3号同点ソロを放つ。




20歳の誕生日にプロ初の1試合2本塁打に初の4打点。

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