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2014年ペナントレース総括

ソフトバンク 盤石の救援陣が3年ぶりのVを牽引

 


144試合78勝60敗6分 勝率.565
[ホーム45勝24敗3分/ビジター33勝36敗3分]
[交流戦14勝8敗2分 勝率.636 2位]


◎投手力


 エース・攝津正は先発に転向した11年から4年連続の2ケタ勝利、10勝を挙げた。ただし、その4年間で初めて規定投球回に満たない134イニングにとどまった。ほかの先発陣では阪神から6季ぶりに復帰したスタンリッジ中日からFA移籍の中田が11勝でチームトップタイ。3人の2ケタ勝利投手は前回日本一の11年以来だった。リリーフ陣ではサファテが自己最多の37セーブ。惜しくも07年に馬原(現オリックス)が記録した38セーブの球団記録には届かなかった。そのサファテにつないだ五十嵐亮太は球団記録の45ホールドポイント。森唯斗は球団の新人では09年の攝津以来となる50試合以上登板(58)を果たした。

 チーム防御率3.25はオリックスの2.89に次いでリーグ2位。リリーフ陣の防御率は2.38とリーグトップで救援陣の貢献が大きかった。

◎攻撃力


 チーム打率.280はリーグ断トツで12球団でもトップ。ケガ人はあったが、ほぼ固定メンバーで戦った。その中で打撃10傑に5人がランクイン。そのいずれもが打率3割を超えた。チームトップは柳田悠岐で.317。全試合にスタメン出場し、途中交代も1試合のみと打線のキーマンとなった。12球団で唯一144試合すべてに四番を務めた李大浩、右打者では落合博満氏以来2人目の7年連続打率3割を達成した内川聖一、シーズン終盤に右足首を痛めた長谷川勇也のほか、中村晃も2年連続での打率3割を達成。規定打席到達者で唯一、3割に届かなかった今宮健太も自身が持つリーグ記録に並ぶ62犠打でつなぎに徹した。

 超重量打線の中で随所に機動力も生かした。柳田はリーグ2位の33盗塁。本多雄一が23、明石健志が17で、チームでは124個の盗塁を決めた。また、代打の切り札として、吉村裕基が18打数9安打の打率.500、長谷川が13打数5安打の打率.385の勝負強さだった。

▲プロ野球通算9万5000号、球団通算8000号のメモリアル弾にリーグVを決める一打、日本一を決める決勝打など勝負強さが際立った松田



◎守備力


 チーム守備率.9876、失策数69ともにリーグ3位だが、守備機会はリーグ2位の5590回。5595回でトップの日本ハムの守備率が.985でリーグワーストであることから、数字上では数多く打球、送球に絡んだ中で堅実にプレーしたと言える。ゴールデングラブ賞はオリックスの4人に次ぐ3人が受賞。三塁・松田宣浩は2年連続3度目、遊撃・今宮は2年連続2度目、中堅・柳田は初受賞だった。その柳田の守備率は.979でリーグ12位。外野手では最多の6失策を犯した。それでも受賞経験のある西武秋山翔吾ロッテ岡田幸文を差し置いて、リーグ3位の得票数107を集めたのは、類まれな脚力を生かした守備範囲の広さから。4月22日の日本ハム戦(東京ドーム)ではチーム15年ぶりの三重殺の起点に。外野手-捕手-内野手とつなぐ三重殺はリーグ初だ。

【2014年の主な達成記録】


▼1000投球回=寺原隼人、4月2日対日本ハム(ヤフオクドーム)、プロ野球336人目
▼500試合登板=岡島秀樹、4月8日対西武(西武ドーム)、プロ野球92人目
▼13球団勝利=寺原隼人、4月16日対楽天(ヤフオクドーム)、プロ野球3人目
▼1000投球回=中田賢一、5月3日対楽天(Kスタ宮城)、プロ野球338人目
▼プロ野球通算9万5000本塁打=松田宣浩、5月13日対ロッテ(QVCマリン)
▼200犠打=本多雄一、5月17日対オリックス(京セラドーム)、プロ野球35人目
▼300盗塁=本多雄一、5月20日対広島(ヤフオクドーム)、プロ野球28人目
▼1000試合出場=本多雄一、5月26日対中日(ナゴヤドーム)、プロ野球462人目
▼1500安打=内川聖一、7月11日対日本ハム(札幌ドーム)、プロ野球116人目
▼600試合登板=五十嵐亮太、8月3日対日本ハム(札幌ドーム)、プロ野球37人目、すべて中継ぎでの登板は2人目
▼球団通算8000本塁打=松田宣浩、9月10日対日本ハム(東京ドーム)

【はみ出しデータボックス】5人が打撃10傑にランクイン


 チーム打率.280、607得点はともにリーグ1位。強力打線でV奪回を果たした。チーム打率2位はオリックスの.258で、2分2厘の大差をつけた。打率1位チームが2位以下に2分以上の差をつけたのは、プロ野球史上6度目。リーグでは03年にダイエー(.297)がオリックス(.276)につけた2分1厘差を抜き、最大差をつけた打率1位チームとなった。個人では打率3位の柳田から7位の長谷川まで、打撃10傑に5人がランクイン。チームで5人以上がランクインするのはプロ野球5度目になる。

 内川はチーム最多の74打点を挙げ、リーグ5位の打率.307。横浜時代の08年から続く打率3割以上を7年に伸ばした。打率3割の連続記録は66〜74年張本勲(日本ハム)の9年が最長で、内川の7年は4位タイだが、右打者では81〜87年落合博満(中日)と並び最長となった。来季も打率3割以上なら、川上哲治王貞治(ともに巨人)に肩を並べ、右打者の連続打率3割の記録更新となる。
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