週刊ベースボールONLINE

2014年ペナントレース総括

オリックス 投打が見事にかみ合い大躍進の2位

 


144試合80勝62敗2分 勝率.563
[ホーム46勝26敗0分/ビジター34勝36敗2分]
[交流戦14勝10敗0分 勝率.583 3位]


◎投手力


 昨季、チーム防御率1位に輝いたた投手陣は健在。今季は唯一の2点台となる2.89で2年連続の1位と安定した成績を残した。12球団一とも評される鉄壁の投手陣をけん引したのは、今や球界のエースと言われるまでに成長した金子千尋。12球団唯一の1点台となる防御率1.98で最優秀防御率、16勝(5敗)で最多勝の投手2冠に輝いた。また、球団新記録の開幕8戦8勝で開幕ダッシュの立役者となった西勇輝、5月までに5勝を挙げるなど、チームの快進撃に貢献したディクソンとともに、先発ローテーションを守り抜いた。

▲昨季を上回る16勝(5敗)、防御率1.98で最多勝、最優秀防御率、ベストナイン、沢村賞を獲得した金子



 さらに、岸田護比嘉幹貴馬原孝浩佐藤達也平野佳寿ら救援陣の活躍も素晴らしかった(救援投手防御率は2.49で、ソフトバンクに次ぐ2位)。その中で、佐藤達は48ホールドポイントで2年連続最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。平野佳はパ・リーグ新記録の40セーブを記録して最多セーブに輝いた。また、比嘉もパ・リーグタイとなる34試合連続無失点を記録。今季の躍進は充実したピッチングスタッフによって、支えられていたと言ってもいいだろう。

◎攻撃力


 昨オフに、計182打点をたたき出した四番・李大浩と五番・バルディリスが抜けたことで、開幕前は得点力に大きな不安が残っていたが、新たに加入したペーニャ、ヘルマンが見事にその穴を埋めてくれた。ペーニャは開幕から飛ばしに飛ばし、4月26日の楽天戦(ほっと神戸)でリーグ最速の10号をマーク。そのパワフルなバッティングでチームに勢いをもたらした。また、西武での2年間で81盗塁を記録したヘルマンも、機動力野球を掲げる森脇野球にガッチリとはまり、得点を演出した。

 そして、主に三番を打った糸井嘉男が打率・331で自身初となる首位打者のタイトルを獲得。右ワキ腹痛や両ヒザの痛みなど故障が尽きないシーズンだったが、それをものともせずシーズン最後まで打線をけん引し続けた。そして、もう一人忘れてはならないのがT-岡田だ。100キロ以上あった体重を春季キャンプまでに98キロに落としてシャープなバッティングを取り戻すと、本塁打王に輝いた2010年以来の20号到達(24本)。終盤、四番のペーニャが調子を落とす中で、和製大砲の復活がチームを勢いづけた。

◎守備力


チーム守備率.988は楽天、ソフトバンクと並ぶ1位。失策数ではリーグ最少の63を記録した。昨季は、

 守備率が同率3位、失策数がワースト2位だったことを考えれば飛躍的な進歩を遂げたと言える。守りの野球をテーマに掲げ、練習に励んできた成果が実を結んだということだろう。昨季、ふくらはぎの故障で出場数56試合にとどまった平野恵一は二塁の守備位置で連日好守備を見せ、捕手・伊藤光、遊撃手・安達了一ら、20代中盤の選手たちがしっかりとシーズンを通して守れるようになった。

 4年目の外野手・駿太の成長も大きい。昨季までは、代走や守備固めでの出場が主だったが、今季は打撃が向上したことで先発での出場も増え、糸井、坂口智隆とともに俊足、強肩の外野陣を形成した。ゴールデングラブ賞には金子、伊藤光、T-岡田、糸井の4名が選出されたが、これは優勝したソフトバンクの3名を上回る数字だった。しかし、レギュラー陣が安定した活躍を見せた一方で、控え選手の層の薄さが目立ったのも事実。若手の台頭が待たれる。

【2014年の主な達成記録】


▼1000奪三振=金子千尋、4月25日対楽天(京セラドーム)、プロ野球136人目
▼250犠打=平野恵一、8月20日対ロッテ(QVCマリン)、プロ野球16人目
▼パ・リーグ新記録の個人シーズン最多セーブ(40)=平野佳寿

【はみ出しデータボックス】本拠地で強さを見せ、19年ぶり80勝で2位躍進


 2厘差で優勝を逃すも、95年以来19年ぶりに80勝をマークし2位躍進。昨年リーグ最低勝率だったホームゲームで、46勝26敗と貯金20の大勝。46勝は阪急時代の68年(48勝)以来46年ぶり。貯金20も79年(貯金23)以来35年ぶりと、本拠地で強かった。

 エース金子はビジターで4勝3敗、防御率2.92も、京セラドーム、ほっと神戸のホームでは12勝2敗、防御率1.34。地の利を生かし、2度目の最多勝、初の最優秀防御率を獲得。抑えの平野佳はビジターでは5度のサヨナラ負けを喫し、防御率4.64と安定感を欠いたが、ホームの28試合では防御率1.98。セーブ機会で1度も失敗せず、23セーブを挙げた。打線では打率.331で首位打者の糸井がよく打った。ビジターで.278の打率が、ホームでは.385と1割以上向上。西武戦.465、日本ハム戦.429、楽天.415と3球団相手に4割を超えた。投打の柱が本拠地で輝き、快進撃を支えた。
特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング