週刊ベースボールONLINE

2014年ペナントレース総括

阪神 外国人4人の大活躍でシリーズ進出の快進撃

 


144試合75勝68敗1分 勝率.524
[ホーム41勝30敗1分/ビジター34勝38敗]
[交流戦9勝15敗 勝率.375 2位]


◎投手力


 藤川球児(カブスFA)の抜けた昨年は抑え不在がチームの成績に直接響いたこともあり、今年は韓国のセーブ王・呉昇桓を獲得。これで7回安藤優也、8回福原忍、9回呉の布陣がしっかり固められた。

 先発は能見篤史メッセンジャー藤浪晋太郎と3人までは固定できたが、その後の6番手までが流動的で不安材料であった。しかし、開幕するとドラフト6位の岩崎優が開幕5戦目で先発デビュー即初勝利を飾り、5月まで先発ローテに入りチームを支えた。その後は岩田稔が復調し、最後までローテを守った。

 開幕前は、投手力のいいチームと見られていたが、能見が負け越すなど全体的に低調で、防御率もリーグ5位と不振なシーズンと言っていいだろう。その中でもメッセンジャーが最多勝&最多奪三振の2冠。呉がセーブ王、福原が最優秀中継ぎと、きっちりと役割を果たした部分もあり、リーグ2位へとつながった。

◎攻撃力


 開幕前に不安があった四番・ゴメスだったが、開幕から勝負強い打撃を披露すると、チームも勢いに乗り4月の月間打率.296と打線が爆発した。さらに開幕3戦目で激突負傷した西岡剛に代わった上本博紀が、一番打者として大暴れ。鳥谷敬、ゴメス、マートンのクリーンアップで得点を奪える打線がチームをけん引した。

▲ゴメスが四番として打点王を獲得する活躍で虎の快進撃を支えた



 だが交流戦に入ると全員が不調に陥り5、6月と打率.240と4月の好調が嘘のように打線が湿った。リーグ戦が再開するとゴメス、マートンの打撃も上向きになり、特にロードが続く8月に貯金1ながら勝ち越せたのは打率.278、116得点と猛虎打線がよみがえったからだ。リーグ2位にクライマックスシリーズ優勝、日本シリーズ進出を導いたのは打点王を獲得したゴメスと首位打者獲得のマートンの力が大きいことは間違いない。

◎守備力


 遊撃手・鳥谷、中堅・大和とゴールデングラブ賞を取った2人がいることで安定した守備力を誇っているように見えたが、正捕手が決まらないことで、センターラインが強固だったとは言い難い。

 開幕は藤井彰人が正捕手もケガで途中離脱。そこでドラフト4位の新人・梅野隆太郎を起用。打撃が優れていることもあり、打つ方で数試合貢献。7月中盤まで正捕手として起用された。しかし、守備でミスが目立ち始めると、鶴岡一成中心に変更。シーズン後半に藤井が復帰すると、ベテラン2人を併用した。最後まで正捕手が決まらない苦しいシーズンであった。

 野手の方では、西岡のケガのあと二塁に上本が抜てきされた。打つ方は合格点だったが守備では二塁手最多エラー(17)は痛かった。また三塁も今成亮太新井良太などが併用され、最後は西岡と目まぐるしく変わった。ただ、鳥谷、大和が安定したことが大きな崩壊が起きなかった要因となった。

【2014年の主な達成記録】


▼200本塁打=福留孝介、4月29日対広島戦(甲子園)プロ野球99人目
▼日米通算1000安打=マートン、4月30日対広島戦(甲子園)
▼1000奪三振=福原忍、5月4日対ヤクルト戦(神宮)プロ野球137人目
▼1000回登板=安藤優也、5月13日対広島(米子)プロ野球339人目
▼1500安打達成=鳥谷敬、5月19日対西武(甲子園)プロ野球115人目
▼日韓通算300セーブ=呉昇桓、7月21日対巨人戦(甲子園)
▼500試合登板=福原忍、7月25日対広島(マツダ広島)プロ野球93人目
▼1500試合出場=鳥谷敬、8月9日対広島戦(京セラドーム)プロ通算183人目
▼1000奪三振=能見篤史、9月5日対中日戦(ナゴヤドーム)プロ野球140人目
▼日米通算1000回投球=メッセンジャー、9月20日対中日戦(甲子園)
▼日韓通算500試合登板=呉昇桓、9月20日対中日戦(甲子園)

【はみ出しデータボックス】際立った外国人選手たちの活躍


 メッセンジャーは13勝、226奪三振。初の最多勝、2年連続となる奪三振王のタイトルを獲得。阪神の外国人最多勝は64年バッキー(29勝)以来50年ぶり。226奪三振は外国人枠が制定された52年以降では、64年バッキーの200奪三振を抜く外国人最多記録となった。

 1試合平均の奪三振率はリーグ1位の9.76。来日1年目(10年)の奪三振率は5.37に過ぎなかったが、以降7.32→7.60→8.39と年々向上。今季の9.76は04年ベイル(広島)の9.71を更新する外国人最多記録である。来季は史上11人目、外国人投手初の2ケタ奪三振率を狙いたい。

 ナイトゲームでは24試合で7勝10敗、防御率4.08だが、7試合に先発したデーゲームは6勝0敗、防御率0.67と抜群の安定感。このうち甲子園では3試合連続完封勝利を含む、5戦5勝。40イニングで失点2(自責点1)、防御率0.23と圧倒的な強さを誇った。
特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング