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大谷翔平密着ストーリー「本格覚醒の3年目」

 

20歳で迎えた球春は確信と、未来への希望に満ちている。まばゆいばかりの才能を輝かせながら、3年目のスタートを切った大谷翔平。初の開幕投手を託されてから無傷の5連勝。防御率0.80が示すように、その内容はフロックではない。日本球界を背負っていく若きスター。その成長の日々の密着ストーリー――。

文=高橋和誌(スポーツライター) 写真=神山陽平

サクセスストーリーの裏にある高いプロ意識


野球以外に「興味はない」。プライベートの素顔は、壮絶なまでにストイックな大谷



 今季の開幕のマウンドを任され、強烈な自我が芽生えたのだろう。昨季まで2年間、どこか控えめで謙虚だったが急激なメンタルの変化、プラスの化学反応が生まれた。栗山英樹監督から開幕投手を告げられたのが春季キャンプ終盤の2月20日。エースとしての自覚にあふれる決意表明に、それは表れていた。

「うれしさもそうですし、責任を持ってしっかりとやりたい、と。期待に応えたい。全力で勝ちにいきたい。チームに流れを持ってこられるようにしたい」

 あどけなさが残る顔つきに一瞬、狂気を宿らせたように見えた。課せられた使命を思い切り正面から受け止めたのだろう。キャンプ休日、栗山監督からチーム宿舎の一室に呼び出された。大役を直々に伝えられた。躍進を遂げる覚醒への出発点だった。

 順風満帆に見える道のりには人知れない険しさがある。大谷は自らの力で切り開いてきた。花巻東高から進路を選ぶとき、1度はメジャー入りを志した。翻意して日本ハム入り。投手と野手の両立、しかもハイレベルでの成功を目指して二刀流へと挑戦。あれから3年……。

 決して雄弁ではない少年はさまざまな波風を時によけ、時にはねのけ、時にはあらがって、突き進んできた。栗山監督と入団時に誓い合った二刀流の成否、道筋を付ける当初の目安が「3年」。パイオニアになると期して歩んできた今季が、その節目となるシーズンだ。計ったかのような正真正銘の本格的な開花の予兆には根拠がある。

 必然のような成功物語の裏には、尊い精神世界が広がっている。高いプロ意識――。野球に支配される日常を、プロ入りしてから淡々と過ごしてきた。野球以外に「興味がありません」というプライベートの素顔は、壮絶なストイックさだという・・・

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