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2016年開幕特集

広島のカギを握るのは1〜3番・同級生トリオ

 

25年ぶりのリーグ優勝を目指す2016年の広島。開幕3連戦は2勝1敗で勝ち越し。ルナの加入で厚みを増した打線が、奮闘する投手陣を援護した。その中でカギを握るは一〜三番に配された同級生トリオ。開幕3連戦の戦いから今季の広島打線の可能性を探る。
取材=菊池仁志、写真=湯浅芳昭

 開幕戦こそDeNAの開幕投手・井納翔一を攻めあぐね、4安打で1点しか奪えず敗戦した広島だったが、2戦目は3対1、3戦目は6対3の逆転勝ち。開幕カードを勝ち越しで終えた。

 ルナを加えた新打線の力が見えてきた。中日での3年間で打率.316をマークした確実性でどっしりと四番に座るルナ、五番にはオープン戦の15試合で4本塁打と爆発力のあるエルドレッド、六番に昨年はチーム最多の78試合で四番を務めた勝負強い新井貴浩を配した。緒方孝市監督は「中軸の3人は調子や相手投手との相性を見ながら、並びが変わる可能性もある」としながら、3人のポイントゲッターがいる新打線に手応えを得ている。

 また、2、3戦目に七番で起用した天谷宗一郎が4打数2安打で4つの四球を選ぶ活躍を見せた。「いい働きをしているよね。使っていこうという気持ちになる」と評価。第2戦は一死一、二塁から同点の右前適時打を放つと、8回二死から中前打で出塁。すかさず二盗を決め、石原慶幸の二ゴロを柴田竜拓がファンブルする間に一気に生還し、ダメを押した。四番から七番まで役割を理解し、実行する能力を持つ選手が並ぶ。その点でカギを握るのが、一番・田中広輔から菊池涼介丸佳浩と続く同学年トリオの出塁力だ。

田中広輔


菊池涼介


丸佳浩


 1得点で敗れた開幕戦、3人とも無安打で、出塁も田中広輔の四球1のみ。ただし、それが菊池涼介の犠飛につながった。2戦目は6回の先頭・丸の中前打が逆転の足掛かり。3戦目も7回、菊池、丸の連打から勝ち越し点が生まれた。緒方監督は「打てるときも打てないときもある。そう簡単に打てるものではないが、3人が働けば打線はつながる。3人がキーマン」と期待。機動力のある3人を塁上に置き、重量級の中軸に回せれば得点力は格段に上がる。

 リーグワーストの1082三振を喫した昨季の反省から取り組む「粘りの打撃」の成果も3戦で12三振、シーズンに換算すれば572と表れている。「積極的にいく中でボール球には手を出さない。ファーストストライクから好球必打を心がけて、そう簡単には打てなくても9イニングでとらえて結果に結び付けていければ」と3戦を終えて緒方監督。得点には至らなくとも、試合の序盤から相手バッテリーにプレッシャーをかけ続け、終盤の集中力で逆転した2試合を指揮官は「最高のゲーム展開。こういう試合をこれからもたくさんしていきたい」とチームの方向性ととらえている。

 今年もセ・リーグはどこも決め手を欠き、混戦模様。前田健太(ドジャース)の穴を埋め、“混セ”を抜け出すには絶対的に必要な攻撃力。その基盤として同学年トリオの働きがシーズンの行方を決める。
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