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2016春・ドラフト特集

神奈川大学リーグにはドラフト注目の逸材が勢揃い!

 

取材・文=佐々木亨、写真=大賀章好、藤井勝治

「剛」と「柔」の投手戦は延長タイブレークで決着


 ともにサウスポーのドラフト候補。その評価に違わぬ力が激しくぶつかり合ったのは、神奈川大学リーグ戦の第3週、4月23日のことだ。

 横浜スタジアム。神奈川大の濱口遙大が自己最速にあと1キロと迫る149キロをたたき出せば、桐蔭横浜大の高橋拓巳は自己最速となる146キロを記録する。互いに「相手は関係ない」と言うが、ボール一つひとつには両者の意地が透けて見えた。最後はタイブレークの末に完封した高橋に軍配が上がったが、9回を終えて両者ともに無失点。力が拮抗する中で、それぞれが持ち味を見せた。

 投球スタイルは、「剛」の濱口に対し、高橋は「柔」のイメージになるだろうか。ワインドアップからの馬力を感じる投球フォームの濱口は、とにかく投げっぷりがいい。3年時の大学選手権では3試合(21イニング)に投げて自責点0。金メダルを獲得したユニバーシアード(韓国)では日本代表に選出され、投手としては小柄な173センチだが剛腕左腕として注目された。最上級生となった今年は制球の安定感を口にする一方で、濱口自身が最も成長を感じているのが球威のあるストレートだ。神奈川大の古川祐一監督が「若いころは『自分』というものが強かったが、4年生になって責任感と自覚が出てきた。また、角度を生かしたストレートの質はさらに進化していると思う」と言う中で、本人はこう語る。

「ストレートもそうですが、いろんな変化球でアウトを奪うことができれば投球の幅は広がるし、自分のアピールにつながる。そのためにも、腕をしっかりと振って投げることを常に意識してやっていきたい」

はまぐち・はるひろ●1995年3月16日生まれ。佐賀県出身。173cm78kg。左投左打。三養基高では甲子園経験なし。神奈川大では2年春、3年春の最優秀投手。最速150キロ



 高橋もまた「自信があるのはストレート」と言う。指先の感覚で球速を微調整するというストレートは、高橋にとっても軸となるボールだ。ただ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップといった変化球を効果的に使うからこそ、高橋のピッチングは生きてくる。緩急をつけながら、時には右打者の懐をえぐる質の高いストレートを投げ込む。高橋に「柔」のイメージを抱くのは、左ヒジを柔らかく使うそのフォームもさることながら、ピッチングに「巧さ」を感じるためだ。2年春のセンバツに出場した前橋育英高を経て入学した桐蔭横浜大では1年秋からリーグ戦で登板。着実に成長してきた左腕は、「大学最後の年。とにかくチームが勝つことだけを考えて投げていきたい」と語る。

たかはし・たくみ●1994年6月20日生まれ。群馬県出身。175cm 73kg。左投左打。前橋育英高では2年春のセンバツ出場。桐蔭横浜大では1年春からベンチ入り。最速146キロ



桐蔭横浜大の149キロ右腕に横浜商大の左腕カルテット

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