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決断の真相 スペシャルインタビュー

福田秀平(ソフトバンク→ロッテ)インタビュー ゆずれない想い 「いつか、柳田悠岐に、何かで勝つ。その思いが僕を突き動かす原動力」

 

2010年代に6度の日本一に輝く最強王者・ソフトバンクを離れることが、簡単な決断ではなかったことは、容易に想像がつく。それでも5球団からの獲得オファーの末に、ロッテへのFA移籍を決断した。自らの力を試すため、そして恩返しのために──。
聞き手=田中大貴[スポーツアンカー] 構成=坂本匠 写真=上野弘明、BBM


雁ノ巣球場での出来事


──チームが決まり、少し時間が経ちました。今の心境はどうですか。

福田 身が引き締まる思い、ですね。毎日どうしようかと考えていましたので、(10月末の宣言から)1カ月は本当に長かったです。疲れもありましたけど、悩み抜いて、チームも決まったので、ホッとした気持ちもあります。

──あらためてFAを宣言した意図、考えを教えてください。

福田 自分の評価を聞けるのはこの機会しかないですから。ほかのチームにどのように思われているのか、知りたかったからです。

──「知りたい」という思いがある中で、とはいえFAを宣言すること自体にも迷いがあったのでは。

福田 最初はそうでした。でも、ホークスに宣言残留を認めていただいて、残る選択肢をいただけたので、迷いはなくなりました。まずは宣言をしてからその先は考えようと。

──FAを宣言し、複数球団から誘いがかかる中で、期限も迫ってきます。球団を決めるにあたり、どんなことに心が揺れ動いていたのですか。

福田 本当に悩みました。プロの野球選手として、金銭面を含めた条件もそうですし、自分がどのチームに行ったらフィットするのか、どのチームが一番自分を必要としてくれているのか……。お金に変えられない部分を含めて、悩んだポイントは数え上げたらキリがないです。ただ、最終的に判断の決め手になったのは、ここまでの自分の野球人生を振り返ったときに、いまこうしてFAを取得して頭を悩ませていられるのも、ホークスでお世話になった鳥越(鳥越裕介、現ロッテヘッドコーチ)さんのおかげ、ということでした。最初は「人についていくのはどうなのか?」とも考えました。プロの世界なので、体制が1年で変わってしまうことだってあることですから。ただ、それでも鳥越さんとまた一緒に野球がしたい、恩返しをしたいという思いが最後のひと押しとなりました。

──契約交渉の場でも、鳥越さんの名前を出したのですか。

福田 いえ。ただ、ロッテとの交渉の席でお話しした松本(松本尚樹)球団本部長が、13年前、僕が高校3年生のときにも学校にスカウトとして足を運んでくれていた方なので、そのときの昔話もしましたし、「あのときも欲しかった」と言ってくださって、こうやってロッテにお世話になることが決まって、縁があったのかな? と。運命を感じますね。

──鳥越コーチとは話をしましたか。

福田 電話ですが決断をしてすぐに「よろしくお願いします」と言ったときに、「まじか?」と。すごく驚いていましたね。「無理だと思っていた」と。涙ぐんでいたのを感じました。

──どうして鳥越さんは「無理だ」と思ったのでしょうか。

福田 条件面のことだと思います。悩んでいる最中も電話をさせていただいたんですが、ロッテ関係者としての意見と、野球人の先輩としての意見、この2つをずっと話してくれていました。「プロ野球選手はお金を稼ぐ職業。いつまで現役でできるか分からないから、金額、条件は大事にしろよ」と。

──鳥越さんの存在はそんなにも福田選手の中で大きかった、と。

福田 僕、19歳のときに父を亡くしているんですが、その1カ月後に鳥越さんは奥さんを亡くされているんです。8月くらいでしたが、野球に身が入らなくて、鳥越さんに呼ばれて雁ノ巣球場(※当時のホークスの二軍施設)の三塁側ロッカーで話をしたあと、2人で大泣きしました。

──どんな言葉をかけられましたか。

福田「残ったお母さんを食べさせてあげられるのは、お前しかいない。自分が頑張ることによって、天国のお父さんも喜ぶだろうし、何より頑張って育ててくれたお母さんに恩返しをしなければいけん」と。ロッテ移籍の決め手が鳥越さんという話をしてきましたけど、一番大きかったのはこのときのことで、今回、FAとなって悩んでいるときに、この日のことが思い出されて、鳥越さんに対しても成長した姿を見せられるように、という思いが強くなっていきました。実は僕、鳥越さんに・・・

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