新型コロナウイルスの感染で入院された梨田昌孝氏。4月19日現在の情報では危険な状態は脱したとのことで、一安心している。本誌でも長くコラムの連載などされた往年の名捕手だが、もしかしたら若い読者の方々は「ダジャレ好きな元監督」のイメージのほうが強いかもしれない。ここではあらためて「捕手・梨田昌孝」のすごさに迫ってみたい。 あきらめない心
1970年代後半から80年代の球界を代表する捕手・梨田昌孝。79、80年の近鉄連覇に貢献した、創意工夫の異才の男だった。
もともと無類の強肩の持ち主だったが、77年に右手中指を骨折。以後、肩の強さだけに頼らないスローイングを考え、編み出したのが半身の構えだ。上半身は投手に向くのだが、下半身だけ30度ほどひねり、スローイングに移る動きを少しでも短縮するのが目的だった。さらに、すごいのは“捕球しない”キャッチング。ミットの硬い部分に当てて跳ね返らせ、つかむのではなく、手のひらに乗せてスローイングに入った。連覇時の盗塁阻止率は79年が.536、80年が.479となっている。
ここまで突き詰めたのは、阪急にいた世界の盗塁王・
福本豊の存在もある。優勝のために絶対倒さなければならない相手の一番打者の足を止めることこそ、自分の仕事と思った。球団別の阻止率も、対阪急は79年が.786、80年が.538と高い。
創意工夫は打撃にも及ぶ。有名な「コンニャク打法」である・・・
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