阪急のエースとして活躍したサブマリン投手は、グラブに対しても強いこだわりを持っていた。「信頼する名人に任せきりだった」と笑うが、これだというグラブ以外は決して使わなかった。 取材・構成=牧野正 写真=BBM 夏がやって来ると軽めのグラブに変えた
私のグラブは“名人”に頼んで作ってもらっていたんですよ。契約していたミズノのグラブ職人と言われた坪田(坪田信義)さん。伝説のグラブ職人で非常に有名な方です。みんなが名人と呼んでいました。僕も信頼していましたから、すべて名人に任せきりでした。
名人は僕の話というか、要望をよく聞いてくれたし、僕も名人の話を聞いていました。シーズンを通して、そういうやり取りをしていく中で、名人の中で僕の求めているグラブが分かる。毎年春先になると3つほど僕にグラブを届けてくれるんです。でもまったく同じ3つではなく、微妙に違う。それは重さだったり、大きさだったり、硬さだったり、わざと違うように名人が作ってくれていました。その3つの中から、試合で使うグラブを一つ作りなさいということだったのだと思います。
私は夏になると疲れも出てくるので、少し軽いグラブに変えることをしていましたね。グラブも汗や湿気を吸うので夏は少しだけ重くなる。ちょっとでも重いなと感じたら、もう気になってピッチングにならない。数グラムのことなんですけど、その数グラムが大きいんですよ。6月あたりから変えていたのかな。それでまた夏が過ぎて暑さもなくなれば戻していましたね。
ただ、このグラブの重さというのは実は大事でね。本当は・・・
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