週刊ベースボールONLINE

震災10年「3.11」をずっと忘れない

【東北と高校野球 特別コラム】球児が持ち続ける「幸せ」と「感謝」

 

文◎ 佐々木亨

復興への強い意志を紡ぐ石巻市の現在。中洲には石ノ森章太郎ふるさと記念館が見える


心の奥に残る言葉


 当たり前のことが失われた10年前。2011年3月11日の東日本大震災によって、人生を大きく変えられた人は少なくない。高校野球を通した人生においても然(しか)り。こと東北地区の球児たちが震災当時に直面した現実は、決して安易に口にできるようなものではなかった。

 レギュラー9人中6人が津波で家を流されたチームがあった。両親や祖父母、または親戚や知人を津波で失った者もいた。震災直後は、川の水を汲(く)んで薪(まき)で火を起こし、夜はろうそくを頼りに生活する。失われた「当たり前」が戻る日を、ただじっと待ち続けて生活する者もいた。それでも彼らは現実を受け止め、好きな野球を通して希望を追い求めた。

 2011年にあった高校野球。宮城県沿岸部の県立高校に通っていたとある球児は、震災から5カ月後の夏に仮設住宅に移り住んだ。六畳二間にキッチンがついたその場所に移ってからの自主トレは、室内での筋トレぐらい。彼はこう言うのだ・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング